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不登校
2016/03/04

不登校・ひきこもりと認知の歪み⑦

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不登校支援ブログ

認知の歪みの複数性について

これまで認知の歪みの代表的なパターンについて個々に述べてきましたが、実は一つ一つの認知の歪みは単独であらわれるとは限りません。

【事例】センター模試を受け、テストが終わってマークミスがみつかり、答案回収後、試験監督の先生に教室の前に呼ばれて注意され、みんなの前で恥をかいてしまった。自分では見直したつもりだったのだが、受験番号のマークを間違えていた。これがきっかけで自信を失い、「マークシート式の試験で、自分はまたミスをしてしまうのではないか。」と過剰に気にするようになってしまう。それ以降、マーク式の試験を受ける際に極度の緊張状態になり、今度は別のマークミスをしてしまう。やがて模擬試験のたびに抑うつ状態になり、受験できなくなってしまった。

このケースでは、前回に触れた「結論の飛躍(早急な結論づけ)」という認知の歪みのパターンのほか、たった一つのよくないことばかりに意識が向いてしまう「心のフィルター(部分的焦点づけ)」や、マークミスをしたという一つの事実をすべてのマーク式テストに当てはめてしまう「過度の一般化」という認知の歪みパターンも関与していると考えられます。

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「自ら行動を制限して失敗を繰り返す」という悪循環

またこれまで触れてこなかったパターンに「自己成就予言」というものがあります。「自己成就予言は」次のような考え方です。①自分で否定的な予測を立てて自分の行動を制限する⇒②行動を制限したため、再び同じような失敗を繰り返す⇒③失敗の連続により、自ら立てた否定的予測をさらに信じることになり、悪循環に陥る

このように、認知の歪みは単独のパターンで出現すると言うよりは、考えられるすべてのパターンが関与して現れてくるものだと考えられます。

こうした複雑に絡まりあった自動思考の背後には、否定的な中核信念(コア・ビリーフ)であるスキーマがあり、自動思考やスキーマを突き止めて外在化していくことが必要になってきます。こうしたプロセスを可能にするためには、専門の医療機関で個人認知行動療法を受けるのが最もいいのですが、日本ではまだまだ普及しているとは言いがたいのが現状です。

◆【不登校からの学び直し】にしおぎ学院について

まだまだ対応機関が限られているのが現状です

個人認知行動療法は、2010年3月に医療保険適用となりましたが、適用症状がうつ病をはじめとする気分障害に限られています。また保険点数が低いことや、専門スキルを持つ人材が不足しているのが現状です。

個人認知行動療法の保険診療期間は多くはないのですが、集団認知行動療法についてはデイケアの医療費で受けられる医療機関もありますので、かかりつけの医師、心理士に必ずご相談ください。

認知行動療法はうつ病や不安障害においての治療エビデンスが確立している治療法ではありますが、残念ながらわが国では全国的に見ても対応している医療機関はそれほど多くないと言えます。

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認知行動療法の参考文献について

前段でも触れましたように、かかりつけの医師や心理士にご相談いただくのが先決ですが、ここでは認知行動療法の方法論や手法について初心者にも読みやすく書かれた参考文献の中から、比較的入手しやすいものをいくつかご紹介しておきますので、関心を持たれた方は、この折に是非ご一読ください。

①『はじめての認知療法』大野裕著,講談社現代新書

②『こころが晴れるノート』大野裕著,創元社

③『不安障害の認知行動療法(1)パニック障害と広場恐怖ー患者さん向けマニュアルー』

④『不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖ー患者さん向けマニュアルー』

⑤『不安障害の認知行動療法(3)強迫性障害とPTSD-患者さん向けマニュアルー』

※③~⑤はギャビン・アンドリュース他著,星和書店

①は、一般的な入門書として定評のあるものですが、知る限りでは最もコンパクトで、簡潔にまとられた概説書となっています。②は①と同じ著者ですが、セルフチェックシートやワークシートがついており、①の実践書であると言えます。

③~⑤は翻訳文献ですが、「患者さん向けマニュアル」とあるように、「治療者(医師、臨床心理士)から治療を受けていない場合でも、本書のみで自習書としてご利用いただける内容となっています。」とあり、こちらも初心者にも分かりやすく具体的な書かれ方となっています。特に①では、過呼吸症候群についての具体的な対処法などが詳述されていて、非常に参考になります。

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