不登校・ひきこもりと発達障害①〔発達障害の分類〕
管理者用
発達障害が原因でひきこもりになることは珍しくありません
内閣府「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン(案)」のための、国立国際医療センター国府台病院による2010年の調査によれば、ひきこもりの原因となっている心の病気は下記のようなものが上げられています。
①発達障害(27パーセント)
②不安障害(22パーセント)
③パーソナリティ障害(18パーセント)
④気分障害(14パーセント)
⑤精神病性障害(8パーセント)
⑥適応障害(6パーセント)
⑦その他(5パーセント)
これをご覧いただいてお分かりのように、発達障害と不安障害については、全体の50パーセント弱を占める高い割合になっています。
《参考文献》
・『やさしくわかる社会不安障害』(ナツメ社:山田和夫著)
・『発達障害が引き起こす不登校へのケアとサポート』(学研:齊藤万比古編著)
発達障害の分類について
アメリカ精神医学会が作成する精神疾患の分類と診断の手引き(DSM)は、世界保健機関(WHO)が作成する国際疾病分類(ICD)とともに、国際的に臨床や研究に大きな影響力を持っています。
2013年5月にDSMは改訂されて第5版(DSM-5)が発表されています。DSM-5では、発達障害に関しても多くの変更がなされています。
DSM-5に先行する、DSM-Ⅳ、DSM-ⅣーTRにおける発達障害は、児童青年期発症の観点から「通常、幼少期、小児期、または青年期に初めて診断される障害」のカテゴリーに一括りにされていました。しかしDSM-5においては、新たなカテゴリーとして「神経発達障害群」として独立することになりました。
DSM-5における「神経発達障害群」の内容は下記の通りです。
・知的能力障害群
・コミュニケーション障害群
・自閉症スペクトラム障害(ASD)
・注意欠陥・多動性障害(ADHD)
・限局性学習障害
・運動障害
・他の神経発達障害群
これらについては、すでにわが国でも一般的に知られ、流通し定着している「発達障害」とほぼ同義であると考えてよく、発達期に始まる神経発達の病理を想定した分類となっています。
またDSM-5では、自閉性障害、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD)は、独立した障害単位ではなく、自閉症スペクトラム上にあるものとしてカテゴライズされています。
《参考文献》
・『小児科臨床ピクシス 発達障害の理解と対応』(中山書店:五十嵐隆総編集・平岩幹男専門編集)
・『神経発達障害のすべて DSM-5対応』(日本評論社:連合大学院小児発達学研究科 森則夫/杉山登志郎編)
・『学校関係者のためのDSM-5』(医学書院:高橋祥友監訳)
・『DSM-5セレクションズ 神経発達症群』(医学書院,高橋三郎)
アスペルガー障害(症候群)と注意欠陥・多動性障害(ADHD)
自閉症スペクトラム障害(ASD)の中でも、特にアスペルガー障害(アスペルガー症候群)、そして注意欠陥・多動性障害(ADHD)の特徴について触れておきたいと思います。
アスペルガー障害(アスペルガー症候群)は、知的な遅れはありませんが、他者の言動や表情から意図や気持を察することが非常に苦手であるという特徴があり、学校生活における日常的なコミュニケーションに支障を来たしやすいと言われています。
また、注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、集中力が持続せず、気が散りやすいという特徴(注意欠陥)があり、落ち着きがなく(多動性)、年齢・学年に見合わずこうした特徴を持つものとされています。
発達障害の生徒は、その特有のコミュニケーションスタイルのため学校生活などで周囲とうまくかかわれないことが少なくありませんが、好きなこと興味のあることに対しては驚異的な集中力を発揮することがあります。
しかし幼少時代からこだわりが強い傾向があるために、大人からの指示を明確に理解しにくかったり、空気やコンテクストを読むのが苦手なために状況判断がうまくできず、周囲の同年代の生徒たちとうまく意思疎通ができなかったりすこともあるため、いじめの対象になることも珍しくありません。
《参考文献》
・『じょうずなつきあい方がわかる 自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の本』(主婦の友社:宮本信也著)
・『自閉症スペクトラムがよくわかる本』(講談社:本田秀夫著)
・『親子で乗り越える思春期の発達障害』(河出書房新社:塩川宏郷監修)
・『ASD、ADHD、LD 女の子の発達障害』(河出書房新社:宮尾益知監修)
発達障害といじめ・不登校・ひきこもりについて
周囲の理解を得られないこうした状況のもとでは、過度の心理的社会的なストレスを受けざるを得なくなります。いじめによる心理的なストレスが、自律神経が不安定になる思春期の時期(10~16歳ぐらい)と重なってしまうと、起立性調節障害(OD)を発症し、場合によっては重症化してしまう危険性も考えられます。
起立性調節障害に加えて、抑うつ状態に陥り、うつ病などを併発してしまうと、さらに治療が困難になってきますが、発達障害は、そのこだわりの強さなどの特性から、ゲーム依存症やネット依存症との親和性の高さも一般に知られています。
起立性調節障害やゲーム依存症・ネット依存症などに陥ってしまうと、昼夜が完全に逆転し夜型の生活が定着してしまいます。こうした状態になってしまうと、不登校・ひきこもりが常態化し固定化し、将来的にニート生活に入っていく可能性も高くなります。
不登校・ひきこもりが固定化したまま中学を卒業してしまい高校には進学しないケース、そして中高一貫校などでそのまま高校に進級・進学したものの出席日数が不足して中退してしまうケース、そして通信制高校などで卒業単位は取得できたももの進路未決定のままで卒業してしまうケースなどが、きわめてハイリスクな状態であると言えます。
発達障害の生徒の場合、家族・学校関係者など周囲の大人たちが、こうしたリスクの大きさを十分に理解し配慮を怠らないようにしていくことが重要になってくるでしょう。
《参考文献》
・『不登校・いじめ その背景とアドバイス』(中山書店:五十嵐隆総編集・平岩幹男専門編集)
・『子どもの心の診療シリーズ2 発達障害とその周辺の問題』(中山書店:宮本信也/田中康雄責任編集)
◆不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩〔不登校支援ブログ一覧〕
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