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不登校
2016/05/13

不登校・ひきこもりと発達障害⑧〔ASDについて〕

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不登校支援ブログ

自閉症スペクトラム障害(ASD)の認知・行動特性について

自閉症スペクトラム障害(ASD)の生徒は、その特性が正確に理解されていない状況や環境におかれると、それへの適応に苦しむことになります。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の生徒は、集団生活の中でストレスを感じやすく、周囲の生徒たちとうまく協調できないことで、差別的・排除的な扱いを受けるようになることも多々あります。自閉症スペクトラム障害の生徒に過度の心理的ストレスがかかると、元々の特性とは別の二次的な障害が起きやすくなり、具体的には抑うつや不安などの症状を呈するようなり、中学や高校に行けなくなることもあります。

こうした二次障害の発生を避けるためには、自閉症スペクトラム障害の認知・行動特性について、特に周囲の大人たち(学校の教師・親・塾講師など)は、十分に理解しておく必要があります。最近は、学校以外にも塾などにおいて無理解な対応を受けることで、二次障害が引き起こされ、心身に不調を訴えるようになる中学・高校生も増えつつある印象があります。

自閉症スペクトラム障害の認知・行動特性には以下ようなものが挙げられます。

①他人との関わり方、社会的なやり取りが苦手

②コミュニケーションが苦手

③想像力が乏しい、相手の表情・仕草などから気持ちを読み取るのが苦手

①に関しては、相手の気持や場の雰囲気、状況などを考慮せず、自己本位な言動・行動を取りやすいという傾向が見られます。自閉症スペクトラム障害の人は、よくしゃべりますが、相手のことを考えずに自分の言いたいことだけを話す傾向が強いと言えます。

このことに関連して、空気を読まずに思いついたことをすぐ口に出してしまいがちですし、友人と遊んだり話したりしますが、飽きてしまうとその輪の中から平気で抜け出してしまうことがあります。したがって、周囲からは、自分勝手でわがままだと思われがちです。

こうした認知・行動特性のために、集団で孤立したり、場合によっては排除やいじめの対象になってしまうことも少なくはありません。

《参考文献》

・『自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の本』(主婦の友社:宮本信也 監修)

・『自閉症スペクトラムがよくわかる本』(講談社:本田秀夫 監修)

・『自閉症スペクトラム辞典』(教育出版:日本自閉症スペクトラム学会 編)

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知的な遅れや言葉の遅れがないことが多い

②に関しては、言葉の遅れが見られることもありますが、必ずしもそうであるとは限りません。むしろ逆に、知的な遅れや言葉の遅れがなく、通常より早いこともあり、年齢の割りに大人びた言い方や丁寧な言い方をすることも珍しくありません。そしてこの場合、難解な言葉や漢字表現・熟語、そして横文字の言い回しなどを好む傾向があるのも特徴で、教えてない語やまだ習っていない漢字を速習する能力がきわめて高いこともあります。

また、反響言語(オウム返し)があると思われがちですが、ない場合もありますし、プロソディ表出(イントネーションやリズム)に障害がなく、あったとしても軽度なもので、こうして見ると、なかなか気づかれにくい場合もあると言えるでしょう。

ただ、冗談や比喩は理解することはできても、アイロニー(皮肉)の理解は困難で、発話された言葉を字義的・表面的に受け取りやすい傾向があり、言外の意味を推し測ったり、会話の中での文脈依存的な解釈は苦手であるという特徴があります。

知的な遅れや言葉の遅れがない上に、難しい言い方や大人びた丁寧な言い方をしたりすることから、一見してコミュニケーション能力が高い子どもなのではないかと誤解されるかもしれませんが、言葉の奥にある意味や、文脈で意味を類推する能力に問題があり、会話の中で指示語の理解が困難なこともあります。

《参考文献》

・『最新 子どもの発達障害事典』(合同出版:原仁 責任編集)

・『自閉症スペクトラム障害の診断・評価 必携マニュアル』(東京書籍:S.A.ソールニア/P.E.ヴェントーラ 著)

◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩

想像力が乏しく、融通性がない

自閉症スペクトラム障害の場合、想像力が乏しいため相手の感情を読み取るのが苦手な傾向があります。

また変化に対応することが苦手で、融通が利きません。たとえばなど授業の時間割が急に変更になったり、担当の先生が休んで別の先生が急遽代講に入ったり、など予定やスケジュールの変更に対応するのが得意ではありません。このことに関連して、段取りや予定が曖昧で流動的な状況の場合、非常に不安になりがちです。急に予定変更になったりした場合に、パニックになることもあるので注意が必要です。

これは、自閉症スペクトラム障害の子どもが、パターン化された決まった順序や段取りに対する強いこだわりを持ちやすいからだと考えられます。これに関連して、自閉症スペクトラム障害の子どもは、決まりきった、パターン化された言動・行動を好むという傾向もあります。

さらには、すでに定型化され、自分自身も納得して従っている決まりごとやルールに関しては、他者がそれを遵守しないことを許容することができず、決まりごとやルールに従うことを他者に対しても強く求め、徹底させようと強要することもあります。

《参考文献》

・『思春期のアスペルガー症候群』(講談社:佐々木正美 監修)

・『思春期のアスペルガー症候群は、家族全員でサポートしよう!』(日東書院:金澤治 監修)

◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩

自閉症スペクトラム障害における、その他の注意点

手先が不器用なことが多く、また被害的な言動が多いことも特徴だと言えます。

さらに注意が必要なこととしては、自閉症スペクトラム障害の子どもは、大きな音や声が苦手で、大声で怒鳴りつけられたりすることに非常に不快感を抱きます。教師や親が、大声で叱責することは、自閉症スペクトラム障害の子どもにとっては、想像以上のストレスになっているということを十分にご理解いただきたいと思います。

また、否定的、ネガティブな言動に対しては激しい拒絶反応を示すことがありますので、こちらについても周囲の大人の人たちにはご配慮をお願いしたいと思います。

今回のブログの最初にも触れましたが、最近は学校や家庭のほかにも、塾・予備校などで大人たちから無理解な対応を受けることで、抑うつや不安を引き起こされてしまうというケースがあります。塾は通常、生徒の成績を上げ、志望校に合格させることが目的の場ですが、こうした場において、否定的な言葉で叱責を受け続けることで、二次障害を併発し、不登校やひきこもりに発展しまうこともあります。事実、こうした中学生や高校生は後を絶ちません。

自閉症スペクトラム障害の生徒は、その特性ゆえに、周囲の大人たちから大声で叱責されたり、あるいは否定的な言葉で非難される経験が他の生徒に多くなる可能性があります。しかしこうした否定的な経験が続き、常態化していくと、やがてはうつ病などの二次障害を併発し、取り返しのつかないことになりかねないということは知っておくべきだと思います。

こじらせてきわめてハイリスクな状態になることも考えられますので、学校や家庭、そして塾など、自閉症スペクトラム障害の中学・高校生が置かれる様々な場面での十分な配慮が大切になってくると言えます。

《参考文献》

・『小児科臨床ピクシス⑮ 不登校・いじめ その背景とアドバイス』(中山書店:平岩幹男 責任編集)

・『子どもの心の診療シリーズ1 子どもの心の診療入門』(中山書店:齊藤万比古 総編集・責任編集)

・『発達障害が引き起こす不登校へのケアとサポート』(学研:齊藤万比古 編著)

◆不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩〔不登校支援ブログ一覧〕

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