不登校・ひきこもりとゲーム・ネット依存症①〔デジタル環境と依存症〕
管理者用ゲーム依存症やネット依存症の中高生が不登校・ひきこもりに
当塾は、不登校対応に特化している塾ですが、いわゆる「ネット依存」の中学・高校生が増えることはあっても減ることはない状況です。こうした状況に鑑み、今後数回に渡り「不登校とネット依存」の問題をテーマに記事を書いていくことにいたしました。
不登校とゲーム依存やネット依存については、近年、きわめて密接な関係があると指摘されていますが、不登校が原因でネット依存になるのか、あるいはゲーム・ネット依存が原因で不登校になるのかについては、「卵が先か鶏が先か」という循環論になってしまうおそれもありますので、ここではその点には触れず、主に後者の場合を想定して述べていきたいと思います。
まず、今回の記事ではゲーム・ネット依存の現状について簡単に触れておきたいと思います。
【参考文献】
・『親子で読むケータイ依存症脱出法』(磯村毅 著,ディスカヴァー・トゥエンティワン)
・『ネット依存症のことがよくわかる本』
◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりとゲーム・ネット依存症①~⑥
ゲーム依存やネット依存は小学生にまで広がっている
ネット依存症は、潜在的には男女比が同程度と推測されていますが、実際に医療機関を受診するのは中高生の男子に多いようです。さらに、ネット依存症は中高生だけでなく小学生にまで広がっているとも言われており、これはインターネットの急速な普及により拡大の一途を辿っています。つまり、ネット依存の低年齢化が急激に進行しているのです。
またデバイスの多様性や使いやすさなどが考えられます。PCを持っていなくても、タブレット、スマホなどの端末によって容易にインターネットにアクセスできるデジタル環境が当たり前の時代です。
そして現在の10代の人たちのデジタルスキルもまた、われわれ大人世代よりも進んでいると考えられます。生まれたときにはすでにインターネット環境の中であったことは非常に大きいといえます。
現在、一般家庭のパソコンでインターネットに接続していないなどと言うことはまず考えられませんし、たとえ小学生であっても比較的簡単にネットを使用できる環境になっていることは(いい悪いは別にして)否定することはできません。
【参考文献】
・『子どもがネットに壊される』(メアリー・エイケン 著、小林啓倫 訳,ダイヤモンド社)
・『子どものネット依存 小学生からの予防と対策』(遠藤美季 著,かもがわ出版)
◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりとゲーム・ネット依存症①~⑥
オンラインゲーム依存から昼夜逆転、そして不登校へ
ネット利用の状況の内訳を見ると、動画・画像サイト、そしてゲームサイトがトップを占めており、これらのサイト利用をきっかけにネット依存になり、不登校・ひきこもりなどの状態に陥って、保護者の方が専門の医療機関を探すケースが増えているようです。
ここでは特に「多人数参加型のオンラインゲーム」に焦点を当てておきたいと思います。このゲームは、深夜11時~2時ごろが最も白熱する時間帯であると言われています。
このゲームに参加することで頭が冴えて眠れなくなり、身体は疲れているのにもかかわらず、かりに布団に入って横になったとしても、興奮して明け方4時ごろまで眠りにつくことができなくなります。
このため午前中に起床することも容易ではなくなりますし、起床できたとしてもそのあと起きていられることもできなくなり、昼夜逆転していきます。
この結果として、不登校にならざるを得なくというわけですが、こうしたケースは私たちの塾の中学・高校生たちにも決して珍しいことではありませんし、年々増加の一途を辿っているのです。
【参考文献】
・『ネットに奪われる子どもたち』(清川輝基 編著、古川陽一・山田眞理子 著,少年写真新聞社)
多人数型オンラインゲームの盲点
ゲーム依存の中でも、とりわけこの「多人数参加型」のオンラインゲームに関しては、昼夜逆転を引き起こしやすく、注意をする必要があると言えます。
居場所と承認をオンラインゲームにおけるバーチャルの中で求めることが常態化し、やがてそこから抜け出しにくくなっていくとも考えられていますし、リアルな人間関係では容易に手に入れられない高揚感や達成感も魅力の一つだと言われています。
ともあれ、昼夜逆転して午前中に睡眠を取り、不登校・ひきこもりになってしまった状態では、リアルな人間関係の中で、自らの居場所や承認を得ることがほぼ不可能になるわけです。
このためオンラインゲームの中で自らの居場所を仮想し、バーチャル空間で自らの承認欲求を満たさざるを得なくなります。
【参考文献】
・『ネット依存から子どもを守る本』(キム・ティップ・フランク 著,大月書店)
◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりとゲーム・ネット依存症①~⑥
ゲーム依存・ネット依存はれっきとした「依存症」です
今回のブログの締めくくりとして申し上げたいのは、一度こうした状況にはまってしまうと、本人や家族が想像している以上に深みにはまり、抜け出しにくくなるということです。
ネット依存、とりわけオンラインゲーム依存の問題については、決して軽い問題として考えない方がいいと思いますし、これまで多くの不登校生対応の経験から言っても、実に深刻な問題であると言わざるを得ないのです。
ゲーム依存(特にオンラインゲーム依存)やネット依存は、れっきとした「依存症」であるという周囲の大人たちの認識が必要です。
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