不登校・ひきこもりとゲーム・ネット依存症⑤〔発達障害とネット依存症〕
管理者用
発達障害とネット依存症について
これまでの記事では、オンラインゲームへの過度な依存によりもたらされる、身体の健康、発育、そして精神への悪影響について述べてきました。
深夜の時間帯にヒートアップするオンラインゲームに明け方まで熱中してしまうことによって、夜型の生活が習慣化し、不登校やひきこもりに発展していく危険性についても言及してきました。
今回の記事では、発達障害のある人が特にオンラインゲームにはまりやすい傾向にあり、ネット依存になった場合に朝起きられなくなり、やがて学校や勉強はそっちのけになって没頭し、不登校・ひきこもりが長期化し、ネットが生活の中心を占めるようになる危険性について触れてみたいと思います。
発達障害の認知・行動特性については、不登校支援ブログでも詳しく取り上げていますので、ご参照ください。
◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩まとめ
以下の参考文献に基づき、発達障害の認知・行動特性とオンラインゲーム依存との親和性について3点に集約して簡略にまとめてみたいと思います。
【参考文献】
・『図解 よくわかる思春期の発達障害』(中山和彦/小野和哉 著,ナツメ社)
・『DSM-5セレクションズ 神経発達症群』(高橋三郎 監訳,医学書院)
・『最新 子どもの発達障害事典』(原仁 責任編集,合同出版)
発達障害の特性①対人コミュニケーションが苦手
発達障害のある人は、対人関係が苦手であるという特性があり、対人トラブルを起こしやすいとも言われ、空気が読めず孤立しやすいため、リアルの友だちができにくく、つらくさびしい思いをしたりします。そのつらい思いが募るあまり、オンラインゲームにはまってしまうきっかけになることがあるのです。
発達障害の人は、自分の思っていることを的確に相手に伝えられず、他人の言っていることをうまく理解できないという特性を持っています。このため、対人関係においてしばしばトラブルを起こすことがあり、挫折感や無力感を強く感じてしまっている場合があります。
自分の身の回りの人たちが喜んだり楽しんだりしていることが分からないため、関心や楽しみを友だちと共有することも非常に苦手だと言われます。しかしネット上では、このように周りの空気を読まなくても画面上で状況が把握できるため、周囲に合わせることも容易になります。
発達障害の特性②こだわりの強さ
発達障害の人のもう一つの特性は、物事へのこだわりの強さです。このこだわりの強さがネットに向けられた場合、無目的にネットをやり続けることになるわけです。
対人コミュニケーションが苦手であるという特性と、物事への強いこだわりを持ちやすいという特性が、ネット依存症、特にネットゲームへの依存に発展しやすいと考えられます。
これらのほか、発達障害がある人の中には、主体性が弱く、自力で自らの将来をイメージしたり、状況に対して判断を下したりすることが非常に苦手なケースがあります。
発達障害の特性③想像力の欠如
発達障害における想像力特性、AD/HD(注意欠陥多動性障害)における衝動性などが関係していると考えられますが、発達障害のある人には、将来の道筋をイメージして、決断を下すことが非常に難しいのです。
こうした特性が、後先考えることなく無目的無制限にオンラインゲームをやり続けてしまう傾向に結びつきやすいとも言えるのではないでしょうか。
◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりとゲーム・ネット依存症①~⑥
ネット依存の生徒には学業成績が優秀だった人が少なくない
また発達障害のある人の中には、勉強が得意な人も少なくありません。記憶力のよさやこだわりの強さが勉強に生かされていると考えられますが、その点ではきわめて能力の高い生徒であるように見えてしまいます。
ネット依存症の人の中には、もともと成績が優秀で学業面では何の問題がなかったという生徒も多く含まれていますが、ネットに対する重度の依存にいたるまで、発達障害であることが見えにくくなっていることもあります。
意外にも、ネット依存になっている生徒には、学業成績が優秀で勉強ができる子が多いのです。このことが事態の本質や程度の深刻さを見えにくくしてしまい、ネット依存の発見を遅らせてしまう要因にもなっているようです。
【参考文献】
・『図解 親子で乗り越える思春期の発達障害』(塩川宏郷 監修,河出書房新社)
・『ネット依存症のことがよくわかる本』(樋口進 著,講談社)
軽い気持ちではじめてもやめられなくなります
ストレス解消や暇つぶしで始めたオンラインゲームにはまり、気がついたら学校や勉強そっちのけで、四六時中ネットゲームをやらずにはでは生きていけないほどになってしまっていたということは珍しいことではありません。
もともと発達障害の認知・行動特性があった生徒が、ネット(ゲーム)依存になり、やがて不登校・ひきこもりに陥ってしまうという経路で進行していたと考えれば、実はそれほど不自然なことではないのです。
これまでの学業成績が優秀な生徒であっても、発達障害の特性がある場合は、ネットやゲームにのめりこみやすく、抜け出しにくいといえるかもしれません。
ネット依存の結果、不登校・ひきこもりが長期化している場合、発達障害の特性について考えてみる必要があると言えます。
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