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不登校
2016/10/18

認知の歪みと不登校・ひきこもり⑥〔解釈と現実の混同〕

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不登校支援ブログ

根拠もなくネガティブな結論を出してしまう

今回のブログで取り上げるのは、「結論の飛躍」あるいは「早急な結論づけ」、「恣意的な推論」とも呼ばれる認知の歪みです。具体例を挙げて考えていきましょう。

【事例1】学校の廊下で先生とすれ違ったが、声をかけてもらえなかった。自分のこの前のテストの成績が悪かったから、ひょっとして機嫌を損ねているのではないだろうか。先生は「こんな成績の悪いやつは教えがいがない。口もききたくない。」と思っているに違いない。

【事例2】それまでテストのときに、そんなことは一度も経験したことはないのだが、入試のときに朝寝坊して起きることができなくなり、受験できなくなるのではないかと思い込み、入試が受けられないのではないかと心配になって夜眠れなくなる。

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解釈された記憶と現実の混同

【事例1】の場合、他人の心を根拠もなく憶測して、恣意的に結論づけてそうだと思い込んでしまうような考え方の癖だと言えます。ここで注意していただきたいのは、考えたことは現実ではないということです。現実に生起した出来事を解釈し記憶していくわけですが、この場合、この記憶は解釈が施された記憶であるため、現実とは異なるものです。記憶は現実を忠実に転写したものではないということです。

学校生活や人間関係、学業などで挫折を経験し、気持が折れてしまった不登校生の場合、通常よりも自己否定的な感情が強固なものになっている可能性があります。自己否定的な感情が強くなっている場合、テストで一度失敗したら、これは自己の否定であると捉えてしまうことも珍しくはありません。「教師は、いい成績の取れなかった自分を否定した。だから無視をしたのだ。」という他者の心の憶測は、自らの自己否定感情のあらわれであるとも言えます。

このように「テストの成績がすべてだ」と思い込んでしまったら、場合によっては自分の将来を悲観し、殻に閉じこもって誰にも会いたくなくなるかもしれません。普通に考えれば、これは大袈裟すぎるのではないかと思われるかもしれません。しかし、不登校やひきこもりになってしまうような生徒の場合には自己否定感情が非常に強いことが多いのです。

言うまでもなく、教師が自分を否定しているとか無視をしているということには何の根拠もなく、単なる思い込みに過ぎないのです。そして繰り返しますが、考えていること=現実ではないのです。

《参考文献》

・『やわらかい考え方でストレスコントロール ひとりでできる認知行動療法の応用』(高橋清久 監修,フィスメック)

・『不安な脳』(M.ヴェーレンバーグ、S.M.プリンツ 著,日本評論社)

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ネガティブな考え方は思い込みや偏見と結びつきやすい

【事例2】の場合は、他者の心の憶測ではなく、自分自身の近い将来のことをネガティブに予測し、気持が滅入ってしまうというパターンです。そもそも、まだ入試当日になっているわけではなく、当日に朝寝坊をしてしまったわけでもありません。本当に寝坊してしまいそうなら、家族に必ず起こしてもらうように念を押しておくとか、目覚まし時計を複数用意しておくとか、事前に対策を考えておけばいいだけのことなのです。

この種の認知の歪みの場合、「まだ起こってもいないことをネガティブに予測し、そうなると思い込んでしまう」という傾向があります。そして、このまま事前策を検討せず、気が滅入って落ち込んでしまうというのが特徴であると言えるでしょう。

このような否定的な自動思考が生じてしまった場合は、必ず現実に適応できる考え方へと逐一修正を施していくことが必要なのです。「家族に必ず朝起こしてもらうよう頼んでおく」「目覚まし時計を複数セットしておく」など、できるだけ具体的に、そして自分でも納得できるような考え方を持つように心掛けるのです。

不登校・ひきこもりの生徒の多くは、何かをやる前にネガティブな予測をし、まだ起こっていないことに対して「起こってしまう」「そのようになってしまう」と思い込んでしまい、結局、何も手につかなくなり、一歩踏み出すことがまったくできなくなっているという印象があります。つまり、やる前からどうせダメだと決めつけ、そのように思い込んでしまっているのです。

ネガティブな考え方、自己否定的な自動思考は、思い込みや偏見に結びつきやすいのです。

《参考文献》

・『認知行動療法のすべてがわかる本』(清水栄司 監修,講談社)

・『子どもと家族の認知行動療法2 不安障害』(P.スタラード著・下山晴彦 監訳,誠信書房)

◆不登校支援ブログ:認知の歪みと不登校・ひきこもり①~⑦

認知行動療法による心理的介入

認知行動療法は、認知プロセスを変化させて心理的な悩みや不適応な行動を可能な限り低減していくこと目的にしています。認知行動療法の治療スタンスにおいては、「感情と行動は、主に認知の結果生み出されるものである」として、「認知と行動に介入することによって、思考、感情、行動に変化をもたらすことができる」ことが、前提とされています。

不登校・ひきこもりの生徒に当てはめてみると、問題となる様々な出来事について、その生徒がその出来事の意味をどのように解釈し、その原因をどのように考えているのかという、認知的な側面を重視し、その関連の中で心理的な介入を行っていくことになります。

先程述べたように、≪現実の出来事=解釈された記憶≫という等式は誤認に過ぎず、問題にすべきことは、その生徒が現実の出来事をどのように解釈を施しているのかということなのです。その解釈がネガティブなものであれば、その背後にある否定的な自動思考に気づき、そして可能な限り具体的な反証を行っていきます。

こうしていくうちに、否定的な自動思考が決して永続的なものではなく瞬間的に浮かんだり消えたりしているものであることに気づきます。実はこれが重要なことであり、こうした否定的な自動思考の相対化によって、適応的な考え方へのステップとなり得るのです。

《参考文献》

・『新世代の認知行動療法』(熊野宏昭 著,日本評論社)

・『こころの科学121 認知行動療法』(坂野雄一 編,日本評論社)

◆認知の歪みと不登校・ひきこもり①~⑦まとめ

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