TOP > 不登校支援ブログ > 認知の歪みと不登校・ひきこもり⑤〔すべき思考〕
不登校
2016/10/18

認知の歪みと不登校・ひきこもり⑤〔すべき思考〕

管理者用
不登校支援ブログ

不登校生における「すべき思考」について

「~はこうあるべきだ」「~でなければならない」「~するべきだ」「~してはいけない」など、自らの行動を自分で制約したり、他者に対して要求したりすることです。前者の場合、自分で決めた基準で自らを追い詰め、過度の重圧をかけることになります。また、この基準を他者に当てはめると、相手が自分の思い通りに行動しないと激しい苛立ちと怒りを覚える結果になります。  

前者と後者のそれぞれについて、これまでの指導経験に基づいた事例を挙げてみたいと思います。

【事例1】中学受験のために小4から有名進学塾に通い、名門進学校に合格した。これまで遊ぶ時間も惜しんでずっと努力して、名門の私立中高一貫校に入ったのに、もし成績が急降下して高校に進級できなかったら、別の高校を探して再受験しなければならない。しかし、中高一貫校の授業を受けていたので、高校受験の勉強など全くやっていない。今の学校よりランク下の高校にしか入れないかもしれない。というか、そうなるにちがいない。もしそうなったら自分は「負け組み」だ。自分の人生はこれでもうおしまいだ。

【事例2】母親はどんなに仕事で忙しかろうと、疲れていようと、子どもの食事を作る義務がある。それをおろそかにして、インスタント食品で済ませるようなことがあれば、そんなものは一切食べるわけにはいかない。母親が食材を買ってきてちゃんと調理して出すまで、自分は夕飯は食べない。忙しいとか疲れているからとかいう理由で、子どもに食事も作らない母親の怠慢を断じて許すことはできない。母親としての役割を果たさない以上、自分は塾にも行かないし、勉強もしない、言うことなんか聞くもんか。

◆【不登校 塾】にしおぎ学院TOPへ

「自分は勝ち組でなければならない」という「すべき思考」

【事例1】について言えば、私立中学に進学後に、成績が悪くなる可能性は誰しもあります。1学年200人いれば、1番から200番までいるわけで、それは当然のことです。同じように進学塾で猛勉強して、同程度の学力の生徒たちが合格している中での競争になるわけですから、これまでのように。すんなりとうまくいかないことは、本来、冷静に考えてみれば想定内のことであるはずなのです。

こうした生徒は、テストでいい成績が取れず、ちょっと躓いただけでも、「自分は負け組み」で「自分の人生はおしまいだ」という短絡的な考え方に陥りがちです。これは、「自分は常に勝ち組でなければならない」「勝ち組みでなければ人生の意味がない」というような、極端に偏向した「すべき思考」が働いているからだと考えられます。

そして、ここで最も問題なのは、勝手に「勝ち組みでなければ人生は意味がない」と根拠もなく考え、思い込んでしまっていることであり、この認知の歪みが自分の感情や行動を縛りつけ、追い込んでしまっているということに全く気づいていないということです。

こうした自分で決めた価値基準で、「いい成績が取れないのなら、最初からやる意味などない」「このままの状態で、我慢して無理に中学に通っても無意味だ」という考え方へと発展して、学校を休みがちになり、不登校・ひきこもりになっていくことは、成り行きとしては、あながち不自然なことではありません。

《参考文献》

・『やわらかい考え方でストレスコントロール ひとりでできるストレスコントロール』(高橋清久 著,フィスメック)

◆不登校支援ブログ:認知の歪みと不登校・ひきこもり①~⑦

「自分の思い通りにならないことはあってはならない」のか

【事例2】については、自分に対してではなく他者に対する基準の押し付けになります。これは、「自分の思い通りにならないことはあってはならない」という他者に対する支配欲・コントロール欲求の現われだと言えます。

自分を取り巻く周囲の他者や環境が、自らの思い通りになることを強く望み、思い通りにならないことに対して激しい苛立ちや怒りの感情をあらわにします。

そしてこうした認知の歪みの場合には、「母親は子ども=自分のために尽くすべきだ。それが母親の役割だ」という強固な価値基準があります。こうした他者(この場合は母親)を縛り付けるような価値基準は、結果として自分をも追い詰め苦しめることになります。

さらに、自分が追い詰められ苦しめられているのは、相手(母親)が自分の思い通りにならないからであるという、悪循環を形成していくことになるのです。

《参考文献》

・『子どもの心の診療シリーズ4 子どもの不安障害と抑うつ』(松本英夫/傳田健三 責任編集,中山書店)

・『図解 やさしくわかる認知行動療法』(福井至/貝谷久宣 監修,ナツメ社)

◆【不登校 個別相談】にしおぎ学院:無料教育相談フォーム

不登校生が持ちやすい《強固な価値基準》について

不登校・ひきこもりに陥っている生徒の場合、特定の物差しで自分や他者を評価し、苦しんでいる可能性があります。

不登校生の場合、その自動思考の元にあるスキーマが適応的ではなく非適応的であると考えられますが、こうした非適応的スキーマの中核を占めやすい価値基準には、次のようなものがあります。

①完全主義・完璧主義

②成績依存

③愛情依存

④承認欲求

⑤報酬欲求

⑥支配欲求

これらのうち、②成績依存と④承認欲求については、「自分の価値は他人が自分をどう評価するかで決まり、価値ある人間(勝ち組)になるためには、他の同級生たちよりいい成績を取らねばならない」という、他者からの評価=自分の評価という強固な価値観が共通してあると言えます。

こうした成績依存と承認欲求により、きわめて低い自己評価を得てしまった場合に、その低い自己評価を埋めるために、他者からの愛情に依存することになります。

不登校・ひきこもりの生徒にとって、最も身近な他者は多くの場合、母親であり、母親が唯一無比の依存対象になってしまうことも少なくありません。しかし母親といえども、すべてが自分の思い通りになるわけではもちろんなく、母親をコントロールしようとする支配欲が増強されていく危険性もあります。

《参考文献》

・『認知行動療法のすべてがわかる本』(清水栄司 監修,講談社)

・『子どもと家族の認知行動療法』(P.スタラード 著・下山晴彦 監訳,誠信書房)

◆【不登校個別指導】にしおぎ学院について

「他者からの評価・承認=自己評価」ではない

他者からの評価や承認が、自分の評価のすべてを決めてしまうという強い思い込みが、このスキーマの核にあると言えますが、ここで理解すべきことは、テストの成績や学校のランクなどで、自分自身の人間としての価値のすべてが決定されてしまうわけではないということです。

また、愛情に飢え、過度に愛情を求めてしまうことは、結果的には自分自身を追い詰め苦しめることになるということも、しっかり自覚する必要があるでしょう。

自分自身のスキーマの非適応性に気づくということ、そしてそのデメリットを冷静に意識すること、デメリットがほんの少しでもある場合は、少しずつそのスキーマを修正していかねばなりません。

その際には、そのスキーマのメリットとデメリットを、思いつく限りすべて書き出すことから始めてください。長期間の思い込みのため、デメリットが即座には思いつきにくい可能性がありますが、どんなに些細なことでも書き出すように努力してください。それでも無理な場合は、自分の問題ではなく、主語を第三者に置き換えて、他人を客観的に評価しているような形に変え、作業を続けてください。

他人のことであれば、意外に客観的に見ることができるようになりますし、まずはこの作業から始めてみてください。スキーマを外在化させ、相対化することは、認知の歪みを自覚し修正するためには必要不可欠なのです。

そしてスキーマのメリット・デメリットについて、自ら文字によって視覚化することで、不登校になっていった原因が次第に理解できるようになるはずです。

《参考文献》

・『60のケースから学ぶ認知行動療法』(坂野雄二 監修,北大路書房)

・『新世代の認知行動療法』(熊野宏昭 著,日本評論社)

・『不安な脳』(M.ヴェーレンバーグ、S.M.プリンツ 著,日本評論社)

◆認知の歪みと不登校・ひきこもり①~⑦まとめ

◆【東京】不登校対応の個別指導塾にしおぎ学院 無料教育相談のお申込みはこちら

★にしおぎ学院では大学生のアルバイトスタッフを募集しています

にしおぎ学院では、不登校学習支援にご理解ご関心のある大学生のアルバイトスタッフを募集しています。

にしおぎ学院は完全個室制の1対1個別指導です。

このため他の個別指導塾のように、講師1名に生徒が2名以上になるようなことはけっしてありません。

【歓迎】

・大学で心理、教育、福祉などを現在学ばれている方

・臨床心理学、特別支援教育を大学で現在ご専攻中の方

・通信制高校やチャレンジスクール、新宿山吹高校などから大学に進学された方

・過去に不登校を克服された経験があり、大学に進学されている方

・未経験者、大学1年生の方

にしおぎ学院は、JR西荻窪駅から徒歩2分、東京女子大学善福寺キャンパスから徒歩15分以内のとても便利で落ち着いた場所にあります。

にしおぎ学院のある西荻窪は、吉祥寺と荻窪に隣接する閑静な住宅街です。

皆様からのご応募を心よりお待ちしています!

にしおぎ学院:スタッフ募集

 

 

Facebookで更新情報をチェック!

関連記事