起立性調節障害〔OD〕と不登校・ひきこもり①【ODの特徴】
管理者用
起立性調節障害〔OD〕の特徴について
起立性調節障害は不登校・ひきこもりに直結します。また一度発症すると長期化のリスクも高いとも言われています。
つまり一過性の病気として軽く考えてしまうと、その後のキャリア形成、人間形成にも深刻な影響を及ぼしかねません。
その起立性調節障害の特徴についてまとめました。
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1.中学生の約1割が起立性調節障害〔OD〕
起立性調節障害〔OD〕は思春期になりやすいとされており、季節によっても症状に変化があると言われています。
ODの好発年齢は10~16歳で、有病率は小学生の約5パーセント、中学生の約10パーセント(約350万人)とされ、男女比では女子が男子の1.5~2倍であると言われています。このうち約10万人が生活に支障来たしていると言われており、また近年増加の傾向にあるとも言われています。
ODは心身の発達に伴って起こりやすくなりますが、小学校高学年から多くなり、中学生から急激に増えます。全体の割合の中では、中学・高校生に最も多く、女子の方がやや多めになります。
《参考文献》
・『子どもの心の診療入門』(中山書店:齊藤万比彦 総編集)
・『子どもの身体表現性障害と摂食障害』(中山書店:宮本信也/生田憲正 責任編集)
・『子どもの心の処方箋ガイド』(中山書店・齊藤万比彦 総編集)
2.体調不良を訴える不登校生の約7割がOD
思春期の子どもは、内分泌系・神経系・循環器系の急激な変化により、様々な身体症状を訴えるようになります。この時期に、過度のストレスで自律神経に大きな影響が与えられた場合、ODを発症しやすくなると考えられます。
実際には体調不良を訴える不登校の子ども約7割がODであるとされています。
ODは中学に入ると急激に増加します。中学入学後にODを発症して長期欠席や不登校になってしまった場合、高校受験・進学にも大きな影響を及ぼすことは言うまでもありません。
ODは、医学的には機能性身体疾患の一種として定義されており、れっきとした病気であり身体疾患なのです。したがって、単なる「怠け」や「不真面目」などとして片付けたり、根性論や精神論で解決しようとして叱責・説諭することで治る性質のものではありません。
専門の医療機関を受診して、医学的なエビデンスに基づいた適切な治療を受けることが必要なのです。
高校進学というきわめて重大な局面で進路選択に失敗しないためにも、ODと不登校の関係についてしっかりと理解を深めておかねばなりません。
《参考文献》
・『小児科臨床ピクシス⑬ 起立性調節障害』(中山書店:五十嵐隆 総編集・田中英高 専門編集)
・『小児科臨床ピクシス⑮ 不登校・いじめ その背景とアドバイス』(中山書店:五十嵐隆 総編集・平岩幹男 専門編集)
3.自律神経のバランスを崩して起こるOD
「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」では、「ODとは、自律神経系による循環調節機構の不全に基づく機能性身体疾患である」と定義されています。
ODは、自律神経のバランスが崩れることで、血圧が低下したり、脳や全身への血流が維持されなかったりするために起こると考えられます。
ODの特徴は次の4点に要約されます。
①立ち上がると、脳血流の低下、低血圧、頻脈などが起こる
②思春期(中学・高校生)に発症しやすい
③午前中に症状が強く、午後から回復する
④心理的・社会的ストレスにより症状が悪化する
一般的に体調不良・食欲低下は午前中に強く、夕刻から深夜にかけては元気になるというパターンが見られますが、保護者の方の中には思い当たるという方は少なくないと思います。ODの重症例では、午前中の起床が困難で、日常生活に大きな支障を来たします。
【事例】朝、学校に行こうとして起き上がろうとすると、体がだるくて頭痛もする。遅刻したくないと本人は思っているのだが、なかなか起き上がることができず、無理に起き上がると、気持が悪くなったり、ふらついたりしてまともに歩くことができない。食欲がまったくないため朝食を抜いて通学するが、結果的に遅刻をすることに。そして、何とか登校したとしても、午前中は体がだるく頭もぼんやりして、先生の話もまったく入ってこない。そして頭痛や腹痛を伴うこともありますが、午後を過ぎた頃になると元気になり、体調は回復してくる。次第に成績も落ち、遅刻・欠席も増え、不登校に。
上記の例は、ODの生徒の典型パターンであると言えますが、ODの生徒は夕方から深夜にかけてが活動のピークになり、夜になっても体が休息状態にならず、興奮状態が続きます。このため、就寝時間が自然に遅くなっていきますし、明け方になるまで寝付けなくなることもあります。
さらにODが重症化すると、午前中は意識を失っているかのように眠り込んでしまって起こすことができなくなるケースもあり、私たちの塾生の中にも、一度眠りについたら、保護者でも絶対に起こすことができなくなるというODの生徒は少なくありませんでした。
4.ODの主な症状について
ODの症状は、起き上がったり立ち上がったりしたときに症状が出ます。先述したように、自律神経のバランスを崩しているため、低下した血圧を元に戻すことができなくなり、血流を維持できなくなっているからです。
ODの具体的な症状は、【起立失調症状】【自律神経失調症状】【精神症状】に分類でき次のようなものが挙げられます。
【起立失調症状】
①立ちくらみ・めまい・ふらつき
②全身倦怠感
③失神
※全身倦怠感は横臥すると軽減します。
※過呼吸症候群やパニック発作にODを伴い、失神発作を起こすこともあります。
【自立神経失調症状】
①朝の起床困難・夜の入眠困難
②頭痛
③腹痛
④手足の冷え
⑤乗り物酔い
【精神症状】
①思考力・判断力・集中力の低下
②イライラ感
③午前中の無欲・無気力状態
《前出以外の参考文献》
・『臨床児童青年精神医学ハンドブック』(西村書店:本城秀治・岡田俊他 編集)
5.ODはキャリア形成にも深刻な影響を与えます
ODの発症・悪化に、心理的・社会的なストレスが関係しているかどうかにかかわらず、ODは不登校を合併することが多く、ODの約半数が不登校を合併し、不登校の3~4割がODを合併していると言われています。
ODの精神症状である、思考力・判断力・集中力の低下により、成績が急降下し極度の学力不振に陥ってしまうことは珍しくありません。
こうした状態が長期化してしまうと、仮に不登校にならなかったとしても、中学生の場合は高校進学に、そして高校生の場合は大学進学に深刻な影響が出てくる恐れがあります。
将来設計やキャリア形成の問題を考える上でも、ODへの対応はけっして看過できない問題であると言えます。
6.ODと不登校の関係について
ODと不登校の関係については、一次障害と二次障害のケースで、次のように理解することができます。
【一次障害のケース】立ちくらみ・めまい・ふらつき、全身倦怠感、起床・入眠困難による睡眠リズムの乱れなど、起立失調症状自体により、日常生活のリズムが崩れてしまい、その結果として、遅刻・早退・欠席を繰り返すようになって、長期欠席・不登校に陥る。
【二次障害のケース】ODによる体調不良が長期化していく中で抑うつ状態になったり、あるいは教師や親の理解が得られず不信感がつのり、孤立感を深め、不登校に陥る。
このように、ODと不登校の関係については、一次障害と二次障害それぞれのケースで適切な対応が求められてきます。
今後のブログでは、ODと心理的・社会的なストレスがどのような影響を及ぼしていくのかについても述べていきたいと思いますし、今回のブログでは触れなかった、学校生活や人間関係、そして受験勉強などとの関連についても触れていきたいと考えています。
特に学校生活・人間生活で言えば、いじめとの関連は非常に重要です。
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