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不登校
2016/03/31

起立性調節障害〔OD〕と不登校・ひきこもり④【ODと思春期】

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不登校支援ブログ

起立性調節障害〔OD〕と思春期

起立性調節障害の好発年齢は思春期と重なります。

このため、不登校などに陥ることによって学業の停滞、途絶を招きかねません。

1.起立性調節障害〔OD〕が思春期に多い理由

2.ODはサブタイプによって症状が異なります

3・起立直後性低血圧〔INOH〕が最も多い

4.ODは周囲の無理解で悪化しやすくなる

5.精神論や正論の押し付けは逆効果です

6.日中に通塾困難な不登校生のための《夜間授業》

にしおぎ学院ではODなどの理由で不登校を余儀なくされている中学・高校生のために《夜間授業》を開講しています。

詳しくは《無料教育相談フォーム》にてお問い合わせください。

1.起立性調節障害〔OD〕が思春期に多い理由

中学生を境にして、自律神経機能は大きく変化します。そして、このことはすべての生徒の成長過程における生理的な変化です。

中学生では、正常な発達の途上において、大きな起立直後の血圧低下、血圧回復の遅延が認められ、起立時に低血圧症状が起こりやすい状態にあります。

高校生になると、起立時に中学生と同様の大きな血圧低下が見られるにもかかわらず、やや低血圧症状を訴えることが少なくなります。これは、高校生の場合、中学生に比べて安静時の血圧が高いため、起立時の血圧低下が大きくなっても、脳血流の低下にまではいたらないからであると考えられます。

また思春期における内分泌機能の変化が、血圧調整機能への影響を与えるようになると考えられます。

こうした思春期特有の身体的な変化のほか、小学生から中学生になると、学校生活や人間関係におけるストレスなどの心理的社会的なストレスが自律神経機能に影響を与え、ODを起こしやすく、かつ悪化させやすい環境にあると言えます。

中学入学後には、部活動における先輩後輩、そして同級生のチームメイトとの関係など、小学生時代とは大きく異なり、人間関係が複雑化していくことになります。中学入学後の学校生活の大きな変化によってもたらされる「中1ギャップ」は、心理的社会的ストレスを生みやすく、ODの発症・悪化の原因になる可能性がきわめて高いと言えます。

《参考文献》

・『思春期学』(東京大学出版会:長谷川寿一 監修)

・『子どもの心の診療1 子どもの心の診療入門』(中山書店:齊藤万比彦 総編集・責任編集)

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2.ODはサブタイプによって症状が異なります

前回のブログでも触れましたが、ODには起立時の循環反応によって、4種類のサブタイプに分類されます。

①起立直後性低血圧

起立時の血圧低下が大きく、血圧回復が遅延するため、脳循環を傷害し脳機能低下や身体症状の原因となります。重症型と軽症型があり、軽症の場合は徐々に血圧が回復します。横になっている状態や座っている状態から立ち上がった直後に、立ちくらみやめまいを起こしやすくなります。血圧低下が大きい場合は、気分不良、失神を起こすこともあります。そして、起床後、高温の環境、そして入浴後にこうした症状が起こりやすくなります。

②体位性頻脈症候群

頻度としては、①の起立直後性低血圧についで高く、起立中にはっきりとした血圧低下を伴いませんが、著しい心拍増加があります。症状としては、全身倦怠感、頭痛、ふらつきが特徴的です。起立時の交感神経活動が高くなります。

③神経調節性失神

朝礼や学校行事などで生徒が起立しているときに生じやすく、起立中に突然、収縮期と拡張期の血圧低下・起立失調症状が現れます。具体的には、顔面が蒼白になり、冷や汗が出て、意識低下や意識消失発作を生じることがあり、けいれん発作を伴うこともあります。

④遷延性起立性低血圧

起立後しばらくして収縮期血圧の低下を生じ、動悸、冷や汗、気分不良となります。下半身の静脈血管の収縮不全が原因であると考えられています。

《参考文献》

・『子どもの心の診療シリーズ3 子どもの身体表現性障害と摂食障害』(中山書店:宮本信也/生田憲正 責任編集)

◆不登校支援ブログ:起立性調節障害と不登校①~⑨

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3.起立直後性低血圧〔INOH〕が最も多い

起立直後性低血圧〔INOH〕は、ODの4種類の中でも最も多く見られるタイプですので、触れておきたいと思います。

起立直後の血圧低下が通常より大きいため、立ちくらみやめまい、眼前暗黒感、頭痛のような症状が出ます。立ったままだと動悸や全身倦怠感などが続き、失神することもあります。

症状は午前中に強く見られることが多く、通学に支障を来たすことも少なくありません。しかし、午後になると症状が改善することも大きな特徴の一つで、このため、家族や学校からは「怠け」や「サボり」だと見なされやすく、親や教師から叱責されることも珍しくありません。

症状が長期化した場合、朝の起床が困難であることから就寝時間が遅くなっていくため昼夜逆転して夜型の生活が定着し、このことも不登校の固定化の原因となります。

また、3月(冬から春の季節の変わり目)、5月末(ゴールデンウィーク明けの数日後)、9月末(夏休み明け数日後)に症状が悪化しやすいとされています。しかし、朝ゆっくりと起床できる夏休みは、ほとんどの場合、症状が改善します。

重症の場合は、症状持続期間が長期化するため、通年で症状の改善が見られなくなることがあります。

生徒が親に連れられて医療機関を訪れる場合もありますが、医師が、運動や生活リズムを整えることの大切さをいくら強調しても、生徒の治療意欲が低いときには、まったく効果はありません。

そして、INOHの場合、心理的社会的なストレス要因(学校生活での人間関係など)についても考慮する必要があります。

《参考文献》

・『小児科臨床ピクシス⑬ 起立性調節障害』(中山書店:五十嵐隆 総監修・田中英高 専門編集)

・『起立性調節障害の診かた』(中外医学社:森下克也 著)

◆不登校支援ブログ:起立性調節障害と不登校①~⑨

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4.ODは周囲の無理解で悪化しやすくなる

ODのサブタイプの中で最も発症頻度の高い亜起立直後性低血圧〔INOH〕は、先程触れたように午前中に症状が強く現れ、午後には改善します。そして夕方から深夜遅くまで目が冴えて寝つきが悪くなりま。このため周囲の大人たちからは、一見して怠けているように思われ、大きな誤解を生みがちです。

親や教師からは仮病や怠惰な生活によるものにしか見えず、叱責したり叱咤激励したりして、心理的なストレスを与えてしまう危険性も高いと言えるでしょう。

今回のブログでも述べてきたように、ODは仮病や怠けではなく思春期における身体的な異常によって生じる病気であるということを、まず知っておくべきです。そしてODによって様々な症状・体調変化が現れるという事実を、生徒本人や保護者、そして学校関係者にも、きちんと理解してもらう必要があります。

学校では、担任教師、養護教諭だけでなく校長などにもODの知識を共有してもらう必要があるでしょうし、その場合には、担当医師による診断書のほか対応策などを書面として学校に提出し、理解と協力を求める必要もあります。特に診断書の提出は効果的だと言われています。

ODによる体調不良のため朝起きられないにもかかわらず、親に叱責され無理矢理起こされて通学させられ続けると、心理的なストレスが増大していきます。親や教師に叱責されることで、かえってODの症状が悪化して、昼過ぎまで起きることができなくなり、欠席日数が増える結果になります。

◆不登校支援ブログ:起立性調節障害と不登校①~⑨

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5.精神論や正論の押し付けは逆効果です

周囲の大人たちは、子どもに対して精神論や正論を振りかざしてやみくもに叱責したり励ましたりするのではなく、ODは身体疾患が基礎にある病気であることをしっかりとご認識いただき、冷静に対処していただくことが求められます。

先程来ご指摘しているように、ODのサブタイプ別の典型症状や発症のメカニズムの正確な理解を深めていくことがとても大切になってきます。

症状の日内変動や、季節変化(一般には春から夏に悪化します)ということもODの特徴であり、根性や気の持ちよう、朝寝坊や夜更かしの是正だけでは、けっして症状は改善しないのです。

ODに不登校を伴うことはけっして珍しくありません。ODの3割、さらに中等症以上の症状では約5割が不登校になっています。学校関係者、とりわけ中学の先生方には、こうした事実をしっかり受け止めて不登校に陥っている生徒への対応に当たっていただきたいと思っています。

《参考文献》

・『うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある 親子で治す起立性調節障害』(メディカルトリビューン:森下克也 著)

・『起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応』(中央法規:田中英高 著)

・『起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック』(中央法規:田中英高 著)

◆「起立性調節障害〔OD〕と不登校」①~⑨まとめはこちら

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6.日中に通塾困難な不登校生のための《夜間授業》

にしおぎ学院は不登校学習支援に特化した個別指導塾ですが、起立性調節障害〔OD〕で不登校を余儀なくされている中学・高校生もたくさん通っています。

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無料教育相談は完全予約制とさせていただきますので、事前にお申込みください。お申込みの際には、無料教育相談フォームをご利用ください。

ODに悩む生徒たちの多くは、高校や大学への進学を無事果たしています。もちろん多少の遠回りはあるかもしれませんが、着実に歩みを進めていただきたいと願っています。

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