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不登校
2016/04/23

不登校・ひきこもりと発達障害④〔発達障害における学業不振〕

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不登校支援ブログ

発達障害における、中学入学後の学力低下・学業不振

自閉症スペクトラム障害のアスペルガー障害(症候群)、そして注意欠陥多動性障害(ADHD)は、知的障害を伴いません。

・アスペルガー障害(症候群):高機能自閉症と同様の特性を示すが、知的障害と言語障害は伴わない

・注意欠陥多動性障害(ADHD):気が散りやすく、同じ失敗を繰り返し、落ち着きがない。行動面の障害が特徴。

小学生時代には、授業進度についていくことに支障を来たさなかったり、学校生活の中で特に大きなトラブルを起こしたりすることもなく過ごしてきた場合、中学入学後、あるいは高校入学後になって、はじめて発達障害であることに気づくということがあります。

小学時代には、家族など周囲の大人や年長の兄弟が勉強を見てあげたりすることもあるでしょうが、中学入学後以降は、そうした家庭での学習指導の機会も減ってくると思います。・教科・科目数も増え、それらに対して定期試験も行われるようになり、加えて学校行事や部活などの負担も小学校とは比較にならないほど増えてきますので、発達障害のある生徒にとっては、中学入学後の方が、取り巻く環境がはるかに厳しくなると言えます。

注意欠陥多動性障害(ADHD)の不注意優位型の場合、中学校の定期テストなどでの記入ミスなどが頻発するようになる可能性もあり、ケアレスミスとして軽視してそのまま放置してしまうと、成績の急降下に歯止めが利かなくなり、学力だけではなく学習意欲までが損なわれていく結果にもなりかねません。

《参考文献》

・『親子で乗り越える思春期のADHD』(河出書房新社:宮尾益知 監修)

・『親子で乗り越える思春期の発達障害』(河出書房新社:塩川宏郎 監修)

・『子どもの心の診療シリーズ 子どもの心の処方箋ガイド』(中山書店:齊藤万比古 総編集)

◆【不登校・ひきこもりからの学び直し】にしおぎ学院について

発達障害がある生徒は、個別指導が適していることがある

発達障害がある生徒の場合、個別に人から丁寧に教えてもらえれば、理解できるという生徒も少なくありません。

中学入学後に学力低下、意欲低下が著しい場合には、集団方式の授業だけでなく、必要に応じて個別指導の機会や、生徒によっては独習の機会を増やしていくことも必要になってきます。

個別指導の際には、いきなり生徒の間違った箇所を指摘して直してしまうというやり方ではなく、正答に繋がるようなヒントを与えつつ、できるだけ自力で正答を導けるように促していくことが大切です。できたらすぐにほめますが、その際には、漠然としたほめ方ではなく、どこをほめられたのが明確に分かるように、できるだけ具体的な評価をしてあげることが大切です。

いずれにせよ、発達障害のある生徒には、本人の特性をよく見極めたうえで、より適切な学習環境を整備してあげることが必要になってきます。将来的に、高校進学、そして大学進学までを見据えるなら、中学入学後の中1ギャップによる学力低下や意欲低下には、早め早めに対応していくことが求められてきます。

《参考文献》

・『発達障害が引き起こす不登校へのケアとサポート』(学研:齊藤万比古 編著)

◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩

中学では「配慮指導」が行き届かないことも

発達障害の場合、感覚過敏(あるいは鈍麻)を伴うことがあります。聴覚、触覚、視覚の三つに分けて簡単にそれらの特徴を述べると以下のようになります。いうまでもありませんが、発達障害におけるこうした感覚過敏(鈍麻)の特性についてまったく理解のない状態で、親・教師が発達障害のある生徒に接してしまうことは、その生徒にとって相当な負担になります。

①聴覚:どの音も同じ大きさに聞こえ、聞き分ける「選択的注意」が苦手、大きな音・声が苦手

②触覚:身体に軽く触られただけでも、叩かれたように感じる

③視覚:光をとてもまぶしく感じる、周囲のものが気になり見るべきものに集中できない

発達障害の感覚過敏(鈍麻)は、感覚統合が未発達のために生じると考えられていますが、小学校に比べて中学校の教師の方には、こうした発達障害の特性に十分配慮せずに指導に当たってしまうことがないわけではありません。

中学校では小学校のようにクラス担任がその生徒の特性に応じた工夫をする「配慮指導」が難しくなり、「配慮指導」を受けることのできない生徒は、残念ながらどんどん周りから取り残されていくことになるのです。

《参考文献》

・『心の発達支援シリーズ5 中学生・高校生 学習・行動が気になる生徒を支える』(明石書店:松本真理子他監修)

・『自閉症スペクトラム障害の診断・評価 必携マニュアル』(東京書籍:S.A.ソールニア/P.E.ヴェントーラ 著)

・『自閉症スペクトラム事典』(教育出版:日本自閉症スペクトラム学会 編)

◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩

心理的なストレスにより心身症を併発し不登校に

学校生活での孤立や、学業不振などにより、心身症による身体症状が現れてくることがあります。具体的には、吐き気、嘔吐、頭痛、微熱、めまい、耳鳴り、息苦しさなどですが、そうした身体症状を訴えたとしても、検査では異常がないか、あったとしても軽度であることが多く、軽視されてしまうことがあります。

こうした検査結果だけを見て、「これは病気ではない。甘えだ。仮病だ。」ということをいう親がいないわけではなく、こうした場合、コミュニケーション能力が低く、自らの不安や苦悩をうまく言語化できない生徒は、結果的に心理的ストレスを溜め込んでしまいがちです。

ここで知っておいていただきたいのは、発達障害のある生徒は、生真面目で、決められたことを遵守するタイプの生徒が多いということです。したがって、仮病でずる休みしたりすることは、むしろ考えにくいといわざるを得ません。

中学に入学後に部活やクラスでの人間関係がうまくいかず同級生にからかわれたり、場合によってはいじめられたり、あるいは授業についていけなくなってしまったり、教科ごとに教師が替わるためうまく合わせられなかったり、こうした状況が続くと、心身症の身体症状を訴えるようになり、遅刻・欠席が次第に増えていくことになります。

心身症の身体症状自体は重症化するものではありませんが、こうした症状が出始めた時点で、周囲の大人たちが「たいしたことない」「甘えてるだけだ」「真面目にやれ」「根性が足りないんだ」などと軽視したり一蹴したりするのではなく、不登校のサインであると認識して慎重に対応していくことが望まれます。

《参考文献》

・『小児科臨床ピクシス② 改訂第2版 発達障害の理解と対応』(中山書店:平岩幹男 専門編集)

・『小児科臨床ピクシス⑮ 不登校・いじめ その背景とアドバイス』(中山書店:平岩幹男 専門編集)

◆不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩〔不登校支援ブログ一覧〕

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