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不登校
2016/10/18

認知の歪みと不登校・ひきこもり③〔過度な一般化〕

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不登校支援ブログ

不登校生に見られる「過度な一般化」について

「不登校・ひきこもりと認知の歪み②」では、「全か無か思考(2分割思考)」について触れましたが、今回取り上げる「過度な一般化」という思考パターンも、不登校・ひきこもりの生徒には日常的に接している中で非常によく見られがちです。

「過度な一般化」とは、1度でも失敗したり、うまくいかなかったりすると、全ての物事にあてはめてしまうという思考パターンです。

これまでの指導経験から、具体的には次のようなパターンが典型的なものです。

【事例1】1校でも受験に失敗したら、「自分のような人間はどうせ高校なんか受からない」「自分はどうせ永久に大学に受からない。受からないと分かっているのに受けても意味がない。」などと考えてしまい、他校の受験を全てキャンセルしてひきこもってしまう。

【事例2】問題を解いていて1問でも解けない問題や知らない問題があると、他の問題にもあてはめて全ての問題が解けないのではないか、何も分かっていないのではないか、自分は何も知らないのではないかと考えてしまい、自身を喪失して何も手をつけなくなる。1科目ができないと他の科目もできないと勝手に思い込んでしまい、手をつける前に全て放棄してしてしまう。

【事例3】一人でも相性の悪い教師がいたら、「先生はみんな厳しい、きつい、怖い、上から目線だ。自分の身になって心配してくれる教師などこの世に一人もいない。みんな同じだ。」と一般化して拒絶してしまう。この過度の一般化は、教師だけでなく、同世代の人間や、先輩などに向けられることもある。さらには異性(あるいは同性)一般、大人全般に過度な一般化(それも否定的な)がなされることもある。

《参考文献》

・『認知行動療法のすべてがわかる本』(清水栄司 監修,講談社)

◆不登校支援ブログ:認知の歪みと不登校・ひきこもり①~⑦

「全か無か思考」「心のフィルター」「マイナス化思考」との関連

不登校・ひきこもりの生徒に見られる「過度の一般化」思考は、他の認知の歪みである「全か無思考」、「心のフィルター」、「マイナス化思考」などとも関連があります。これらの認知の歪みには、否定的な信念が通底していると言っていいでしょう。

自動思考において、こうした認知の歪みが生じている場合、その自動思考を深く掘り下げていくと、中核を占める信念があります。

不登校・ひきこもりの生徒の場合は特に。自己否定的な中核信念があると考えられます。「自分はダメ人間だ」というような自己否定な信念が中核にある場合、行動や感情、そして生き方の全てに深刻な影響を及ぼしてしまうわけです。

《参考文献》

・『66のケースから学ぶ認知行動療法』(坂野雄二 監修,北大路書房)

◆不登校支援ブログ:認知の歪みと不登校・ひきこもり①~⑦

自動思考の奥にある中核的信念(コア・ビリーフ)

自動思考は、根拠なく自動的に想起される考えで、自分で考えているつもりはないのに、瞬間的に生み出されていくものです。そして、自動思考のさらに奥深くにある、考え方のパターンを、中核的信念(コア・ビリーフ)、あるいはスキーマと言います。

こうしたスキーマは、認知の歪みを生じさせる考え方の癖を作り出すものであり、このスキーマを把握することで認知の全体像が見えてきます。

不登校・ひきこもりが長期化している場合は、特に自己否定的な中核的信念が固まってしまっている可能性があります。

《参考文献》

・『新世代の認知行動療法』(熊野宏昭 著,日本評論社)

◆不登校支援ブログ:認知の歪みと不登校・ひきこもり①~⑦

スキーマを捉え直し、認知の歪みを修正していく

先程の事例1で言えば、「一校落ちたし。自分なんかどうせ大学へなんか受かりっこない。どうせ他の大学を受けても全部落ちる。」という過度な一般化が生じている場合、「自分は不登校でダメ人間だ」「自分のようなひきこもりは何をやってもダメに決まっている」という自己否定的なスキーマを持っていることが考えられます。

この自己否定的なスキーマが、全ての感情や行動に大きな影響を及ぼして症状を引き起こしています。このスキーマを明確にしていくことで、問題点がはっきりと自覚され、自分の考え方の癖を発見し、次にそれによって生じている歪みを修正していくしかないのです。

《参考文献》

・『図解 やさしくわかる認知行動療法』(福井至/貝谷久宣 監修,ナツメ社)

◆不登校支援ブログ:認知の歪みと不登校・ひきこもり①~⑦

不登校生における自己否定的なスキーマ

不登校生と接していて感じるのは、自己否定的なスキーマに囚われていることに対して、意外にも無自覚であるということです。

自己否定的なスキーマを自覚することが、認知の歪みを相対化していくことの第一歩となるでしょうし、たとえば「過度の一般化」によって、最初に受けた大学に落ちた後に、まだ受けていない大学入試を全てキャンセルしてお金をどぶに捨てるような行動に出ることがいかに誤ったことであるかを冷静に捉えることができるようになると思います。

認知と感情と行動は無関係ではなく、全てが結びついたものであり、認知の歪みが生じているような場合、感情や行動を統御することが難しくなるのです。

つらい気分を生み出す自動思考には特有のパターンがあること、そしてこれらのパターンを理解するだけでも、自分自身の自動思考の癖や偏向が見えてきます。そしてその特徴的な思考パターンの奥底にある、自己否定的なスキーマを掘り下げていくことも非常に大切なことなのです。

私たちは、自分が思っているほど自分の思考パターンや中核的信念を理解しているわけではありません。不登校・ひきこもりの生徒にとっては、なおさら自分の思考パターンの癖について無自覚であると言っていいでしょう。その結果、悪循環に陥ってしまい、抜け出すことが困難になっていると言えます。

◆【不登校支援ブログ】認知の歪みと不登校・ひきこもり①~⑦まとめ

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