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不登校
2016/11/14

うつ病と不登校・ひきこもり④(うつ病の要因について②)

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不登校支援ブログ

「よい子」ほど、うつ病になりやすい

うつ病を発症しやすい子どもには、次のような性格的傾向があります。

●まじめ、正直

●頑張り屋、努力家

●几帳面

●完璧主義

●責任感が強い

●周囲の人に気をつかいやすい

頑張り屋でしっかり者の、いわゆる「よい子」ほど、いい加減なことが許容できず、何でも自分で抱え込んでしまい、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでしまう傾向が強いと言えます。

こうした性格は、わが国の精神医学者である下田光造が「執着性格」と言われる性格特性で、下田によれば「執着性格」の人は「真面目で責任感や正義感が強く、完璧主義で思い込みが激しい」という特徴を持っています。

また、こうした「執着性格」の人は、細かいことに気がつくため、物事を減点主義、マイナス志向で捉えがちです。駄目な部分にだけに注意が向いてしまい、ネガティブな思考に陥りがちで、つらくなってしまうことも珍しくありません。

【参考文献】

・『子どもの心の診療シリーズ4 子どもの不安障害と抑うつ』(松本英夫/傳田健三 責任編集,中山書店)

・『こどものうつ ハンドブック』(奥山眞紀子 他著,診断と治療社)

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うつ病の原因はけっして単純ではありません

前回の不登校支援ブログ(うつ病と不登校・ひきこもり③)でも触れたように、不登校・ひきこもりの原因となった心理・社会的なストレスが同時に、うつ病の誘発因子になることもありますが、子どもが調子を崩す出来事(ストレスイベント)があったとしても、それだけがうつ病発症の原因であるとは限りません。

うつ病の発症原因は単純で単一であるとは限らず、性格や体質など、さまざまな要因が複合的に重なることで、うつ病が発症しているのです。

子どもがうつ病を発症して、不登校やひきこもりに陥ってしまった場合、とかく親はその原因を探そうと躍起になりがちですが、そのように単純なものではないということです。

単純に、「親のせい」のみとも「子ども自身のせい」のみとも言えず、「何かのせい」と考えて、原因を一つに特定しようとして過去にばかり遡及するのではなく、今後の具体的な対応について考えることが大切なのです。うつ病の要因は、複数因子が絡み合ったものであると言えます。

【参考文献】

・『思春期の「うつ」がよくわかる本』(笠原麻里 監修,講談社)

・『子どものうつ病』(長尾圭造 著,明石書店)

◆不登校支援ブログ:うつ病と不登校・ひきこもり①~⑮

うつ病とメランコリー親和型

これまで述べているように、うつ病は、遺伝的要因や環境要因、そして脳の機能的要因(発達障害など)が複雑に絡み合って発症するものと考えられますが、病前の性格としてよく指摘されていて、発症しやすい性格としてドイツの精神医学者であるテレンバッハによる「メランコリー親和型」がよく知られています。

前段で触れましたが、うつ病を発症しやすい子どもの性格として「真面目」「几帳面」「完璧主義」「責任感が強い」などが挙げられますが、これらは、そもそも学校教育が、児童・生徒に求めている内容と合致するものです。

メランコリー親和型の特徴は、「秩序を愛し、他者につくす傾向が非常に強い」とされ、この性格は、学校教育で理想とされる児童・生徒の模範的な性格であると言っても過言ではないでしょう。

つまりここで注意すべきなのは、うつ病の発症リスクの大きいメランコリー親和型の児童・生徒こそが、学校教育が求める理想像そのものであるとも言え、これを追求していくことで、結果的にうつ病を発症し、不登校やひきこもりにまで陥ってしまうというのは、きわめて皮肉なことであると言えます。

【参考文献】

・『「うつ」の構造』(神庭重信/内海萱健 編,弘文堂)

・『よくわかる最新医学 新版 うつ病』(関谷透 著,主婦の友社)

◆不登校支援ブログ:うつ病と不登校・ひきこもり①~⑮

うつ病の遺伝的因子

これまで述べてきましたように、うつ病の発症原因は複合的なもので、遺伝の影響だけでうつ病になるわけではありませんし、学校や家庭などの環境因子がなければ発症することがないこともあり得ます。

しかし、家族にうつ病になる人がいた場合、子どもがうつ病になる確率が高くなると言われており、たとえば一卵性双生児のうちの1人がうつ病を発症した場合、もう1人の方がうつ病を発症する確率は50~70%にまであると言われています。

生まれ持った気質・性格(メランコリー親和型)が、うつ病の発症原因となることは否定できません。こうした性格の子どもが、部活や勉強などで手を抜くことができず、息抜きや気分転換があまり得意ではない傾向が強いとすれば、本人も気がつかないうちにストレスを溜め込んでしまって、心身のエネルギーを消耗して燃え尽きてしまったとしても不思議ではありません。

前段でも指摘したように、学校教育の中では「模範生」「手のかからない子」として見られやすい性格の子どもの場合、家庭や学校では周囲の大人たちも確かに見過ごしやすくなる危険性があります。しかし、こうしたメランコリー親和型の性格特性を持つ子どもは、実は些細なことでつまずき、そのままうつ病になってしまう可能性があるということを、十分に認識しておく必要があります。

【参考文献】

・『子どものうつがわかる本』(下山晴彦 監修,主婦の友社)

・『図解 やさしくわかる うつ病の症状と治療』(野村総一郎 監修,ナツメ社)

◆【不登校支援ブログ】うつ病と不登校・ひきこもり①~⑮まとめ

◆【不登校個別指導】にしおぎ学院について

 

 

 

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