うつ病と不登校・ひきこもり⑫(うつ病の回復期間と休養について)
管理者用
うつ病が回復するには時間が必要です
うつ病は回復までに少なくとも数ヶ月~1年以上はかかると言われており、治療による効果が出始めたとしても、最後まで油断してはなりません。
回復までの期間、よくなったと思えば再び症状が悪化することがあり、好不調の波が絶えず繰り返されます。そうした不安定な好不調の波の中で、緩やかに状態が上向いてくると考えられます。
しかし、自殺念慮のある子どもの場合、抑うつ症状が重いときには元気がないために実行に移しませんが、コンディションが回復してくると自殺企図に移行する危険性が出てくるので、家庭では十分な注意が必要になります。
【参考文献】
・『うつ病のことが正しくわかる本』(野村総一郎 監修,西東社)
・『NHKここが聞きたい!名医にQ うつ病のベストアンサー』(「ここが聞きたい!名医にQ」番組制作斑 編,主婦の友社)
うつ病回復のための休養の必要性
うつ病からの回復のためには、何よりもまず休養が大前提となります。うつ病を発症している子どもは、心身のエネルギーを消耗していることをご理解ください。消耗しきったエネルギーを回復させていくためにも、十分な休養を取らせることは必要なのです。休養のためには十分な睡眠を取ることも不可欠で、場合によっては昼寝などの仮眠も必要です。
子どもに、こうした十分な休養を取らせるために、学校を休ませるという選択も出てきます。言うまでもなく、学校には配慮をしてもらわねばなりませんし、そのためには医師からの診断書を見せるなどして、学校の担任に理解を求めなければなりません。
うつ病になりやすい子どもは、几帳面で真面目な完璧主義である傾向(メランコリー親和型)があるということは、以前のブログ(うつ病と不登校・ひきこもり④)でも触れましたが、こうした生徒が学校を休むことで、心身が休まらなくなってしまうことも当然ありえます。長期間の欠席により、学習進度に大幅な遅れが出てしまう、定期試験が受けられない、治ってからちゃんと元通り復学できるのか、などという焦りが生じてくることは当たり前のことです。
親は、休養の大切さを子どもにしっかりと明確に伝える必要があります。また家庭内では、こうした子どもに対しておおらかに、ゆったりと構えて、家の中で本人がやりたいことをやらせるような環境を整えることが大切です。
【参考文献】
・『思春期の「うつ」がよくわかる本』(笠原麻里 監修,講談社)
・『図解 やさしくわかる うつ病の症状と治療』(野村総一郎 監修,ナツメ社)
焦らせない、叱咤激励しない、油断しない
うつ病を発症している子どもは、発症するまでに受験や部活、そして学校での人間関係、失恋などでさまざまな困難を経験して心身のエネルギーを消耗してきている可能性があります。家庭においては、こうした子どもの疲弊を理解し、受け止めてあげることが求められます。
特に「勉強が遅れるかもしれない」「出席日数が足りなくなるかもしれない」「進学・進級ができなくなるかもしれない」などの焦燥感が生じてきたときには、子どもが時間的なゆとりを持てるよう、休むことを積極的に勧めてあげることが大事です。
こうした子どもに対して「頑張れ」「へこたれるな」などと励ますことは逆効果です。このように励まされることで、さらに精神的な余裕を失ってしまい、折れた心を立て直すための余裕がなくなるのです。
また、先程述べましたが、うつ病の症状は好不調の波があり、よくなったり悪くなったりの繰り返しを経て少しずつ回復に向かっていきます。元気があったと思っていても、翌日には気が滅入って落ち込んでいることはよくあることなのです。こうした症状の変化に、周囲が振り回されないことも大切なことです。
そして回復期の自傷行為になどには注意が必要です。よくなっている時期ほど、周囲は注意を怠ってはならないということになります。回復期こそが、最も危険な時期であると認識しておいた方がいいでしょう。ちなみに、読書などができるようになってくれば、だいぶ回復してきたと言えます。
医師など専門家の判断に従い、完治するまでは油断は禁物であるということです。
【参考文献】
・『うつ病の人に言っていいこと・いけないこと』(有馬秀晃 監修,講談社)
進路決定・復学などは完全に回復してから考える
これまで述べてきたように、うつ病回復のペースになるのは何もせず休養を十分に取ることですが、中高一貫校の進級、高校受験、あるいは退学、転学など、進路決定に関する重大な事柄についての判断や決断についても、回復後に完治した状態で冷静に検討する必要があります。
うつ病は、治療を開始して数ヶ月程度で抑うつ症状が目立たなくなってくることが多いのですが、その時点で治療を中断してしまうと再発する危険性があります。このため、治療期間は1年程度であると認識して、ゆっくりと休養を取りながら、じっくりと治療に専念してもらうことを優先すべきなのです。
周囲は焦らずに、子どもを協力してサポートしてあげることが大切で、ちょっと調子がよくなってきたからと言って、無理に復学させようとしたり、受験勉強を再開させようとしたりすることは、かえって非常に危険だということです。
受験や進学を焦って考えるのではなく、医師などの専門家の助言や治療方針に従って、じっくりと腰を据えて完治を目指すことが先決なのです。こうした意味からも、子どもの進路決定などに関する重大な判断については、完治してからの方が安全であると言えます。
高校進学に関しては、通信制高校やチャレンジスクールという選択のほか、高卒程度認定試験を受検して高卒資格を取得して、大学受験を目指すという選択肢もあります。とにかく、うつ病の再発リスクを抑えるためにも、進路決定などの重大事項は完治してからでもけっして遅くはないのです。
【参考文献】
・『子どものうつがわかる本』(下山晴彦 監修,主婦の友社)
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