TOP > 不登校支援ブログ > うつ病と不登校・ひきこもり⑬(うつ病の再発を防ぐために)
不登校
2016/12/13

うつ病と不登校・ひきこもり⑬(うつ病の再発を防ぐために)

管理者用
不登校支援ブログ

うつ病の回復に焦りは禁物です

前回の不登校支援ブログ(うつ病と不登校・ひきこもり⑫)でも触れましたが、うつ病は回復までに1年程度はかかるとされており、効果が出始めたとしても、完治するまでは最後までけっして油断してはなりません。

うつ病の治療期間に学校を長期間休むことがあったとしても、完治してからまたそこから歩み出せばいいのです。何もできすにいるこどもを前にしたとき、家族、特に親としては焦らずにはいられないものです。

しかし実は、当人は親以上にもっと焦っているのです。そしてこうした親の焦りは子どものコンディションをさらに悪化させてしまう恐れがあります。

うつ病の治療のために休養を取ることは不可欠ですが、数ヶ月~1年程度、学校を休むことがあったとしても、それはあくまで一時的なことです。

少し休養を取る期間があったとしても、その子どもが最終的に精神発達を遂げることができれば、それに越したことはありません。場合によっては、うつ病の経験を、その後で生かすことができるようになることもあります。

【参考文献】

・『うつ病のことが正しくわかる本』(野村総一郎 監修,西東社)

・『子どものうつ ハンドブック』(奥山眞紀子 他著,診断と治療社)

◆【不登校】にしおぎ学院TOPへ

切迫した目標設定を避け、長期的なスタンスでのぞむ

うつ病の回復期になると、子どもが気力を回復し、一見して元気な様子を取り戻すことがあります。親は、こうした子どもの様子を見て安心し、いきなり以前のように活動させようとすることがあります。

そして、子ども自身も、これまで休んでいた分の学業の遅れを取り戻したいという気持ちに駆られ始めます。しかし、ここで無理をさせないことが大切なのです。

学校の勉強についていけない場合は、不登校対応の塾などで学ぶこともできますし、中学3年生の場合、高校受験が間に合わないような切迫した時期にさしかかっているようであれば、無理に間に合わせることを考えずに、3~4年後の大学受験に間に合えばいいというゆったりした長期的なスタンスを取ることが必要になります。

勉強はいつでもできるので、今は休養・治療に専念すべき期間であると、焦らずに、じっくりと待つ姿勢でのぞむことが大切なのです。

うつ病は再発することがありますので、再発を防ぐためにも、医師の指示を待たずに親や子どもが勝手に判断して無理に元の生活に戻そうとすることは非常に危険なのです。

【参考文献】

・『図解 やさしくわかる うつ病の症状と治療』(野村総一郎 監修,ナツメ社)

・『子どものうつがわかる本』(下山晴彦 監修,主婦の友社)

◆【不登校個別指導】にしおぎ学院について

子どものはやる気持ちを抑え、暴走を止めることが大切

中学3年生の場合、高校受験を控えていることが多いと思いますが、うつ病が回復期に向かい、症状が少しずつよくなってくると、当人も、見守ってきた親も、「そろそろ受験勉強を始めよう!」という気持ちになりがちです。しかし、繰り返しになりますが、ここでの焦りは禁物なのです。

子どもは、うつ病発症間もない頃は無気力になっていたとしても、少し状態が回復してくると、思いに任せて行動をしようとしがちです。こうした場合、周囲の大人たちがしっかりとブレーキをかけてあげないと、子どもは暴走して止まらなくなり大変なことになります。

うつ病の回復期になると、子どもは一時的に元気になり、学校や部活に行くようになり、その元気な子どもの様子を見て、親も安心してしまいがちです。ここで注意しなければならないのは、子どもの疲労が現れる前に、親がストップをかけて、子どもをコントロールしてあげるということです。

特に、高校受験を控えた中3生の場合、非常に激しい焦りがあり、みんなに追いつこうとして必死になりすぎてしまう危険性があります。しかし、うつ病の回復期は、完全に治ったわけではないので、頑張りすぎるとあっという間に元の状態に戻ってしまうのです。

中3生の子どもがやる気を取り戻し、安心して応援したくなる気持ちは分かりますが、親はむしろ子どもの引止め役に徹する必要があります。

【参考文献】

・『思春期の「うつ」がよくわかる本』(笠原麻里 監修,講談社)

◆【にしおぎ版】不登校対応のための10項目

うつ病の再発率は50~60パーセントに達します

うつ病は適切な治療を受け、十分な休養を取ることで治る病気です。しかし注意すべきことは、非常に再発率が高いということです。はじめてうつ病を発症した人の50~60パーセントが再発すると言われており、再発の回数が増えるほど再発率も高くなり、その症状が悪化していくと言われています。

回復期に、本人や親の勝手な判断で、まだ完全に治っていないにもかかわらず、学校に復帰したりしてしまうと、再発の危険が高まります。

抑うつなどの強い症状が現れる急性期を過ぎて回復期に入ると、当人も親も安心してしまいがちです。しかし回復期には、気力や体力がまだ十分に回復しているわけではないということを、しっかりと理解しておく必要があります。

このような状態で、学校に復帰して勉強の遅れを何とか取り戻そうと頑張りすぎて無理をしてしまったような場合、ここで溜まった疲労が原因となって、うつ病を再発しやすい状態になってしまうのです。そして再発を放置すると症状が悪化することになります。

完全に治ったと勝手に判断して、いきなり受験勉強をがつがつ始めたり、高校入試までの短期間で詰め込んで無理に間に合わせようとしたりすると、数日後には燃え尽きてぐったりしてしまいます。実は、このような生徒を例年多く見てきています。

このサイト内の不登校支援ブログの中でも取り上げ、繰り返し述べてきたことですが、助走もなく急発進して短期間の詰め込みで暴走してしまっても、完全に回復したわけではない心身のコンディションでその大きな負荷を受け止めきれず、早い場合は1週間程度で頓挫してひきこもりに戻ってしまうことも珍しくはありません。

特に、うつ病の回復期には十二分な注意が必要ですし、元に戻すにしても、あくまでいきなりピークの力を出そうとするのではなく、少しずつ慣らし運転をするような形で戻していくことを心掛けてください。

【参考文献】

・『臨床児童青年 精神医学 ハンドブック』(本城秀次/野邑健二/岡田俊 編,西村書店)

・『子どもの心の診療シリーズ 子どもの心の処方箋ガイド』(齊藤万比古 総編集,中山書店)

・『子どもの心の診療シリーズ4 子どもの不安障害と抑うつ』(松本英夫/傳田健三 責任編集,中山書店)

◆【不登校】にしおぎ学院:大学受験コース案内

復帰を勝手に判断をせず、必ず医師の指示に従ってください

一見すると元気に回復したかのように見えても、気力や体力が充実しているわけではないので、あっという間にそのエネルギーを浪費して、すぐに元に戻ってしまうのです。激しい疲労に襲われ、以前のように動けなくなってしまい、「元気になった!さあ高校受験目指して頑張ろう!」と思っていた親は、さらに子どものことが心配になります。

うつ病で学校を長期間休んでいる子どもにとっては、いつ復帰できるのかが非常に気になるところだと思います。うつ病を発症して、休養に入って間もない頃は、外に出る気力もなく、ぐったりして自宅で寝てばかりいたのが、休養や治療の効果が出始めると、少しずつ元気になってきます。

しかし、抑うつなどの強い症状がおさまり、気力が湧いてきても、すぐに元の生活に戻れるわけではありません。自分で「もう大丈夫」と判断せず、必ず医師とよく相談して、休養期間や学校への復帰の時期を決めるようにしてください。何をどこまでならできるのか、やっていいのか、ということについても、医師の指示に従うことが大切です。

そして医師の許可が出たとしても、いきなり元気だった頃の普通の学校生活に戻ることはできません。焦るあまり、早く復学したとしても、再び学校に行けなくなってしまうと元も子もありませんので、目先の高校受験にとらわれず、焦らずゆったりと構えて、一歩ずつ歩みを進めていくことが遠回りに見えても、実はかえって近道なのだと心得ていただいたいと思います。勉強はいつでもやり直せますので、休養・治療に専念することを優先してください。

なお勉強の遅れや、高校受験などに関しての激しい焦燥感が子どもにある場合には、そのことについても医師にすべて正確に伝えて、指示をもらうようにお願い致します。 

【参考文献】

・『子どものこころの医学』(中村和彦 編著,金芳堂)

◆うつ病と不登校・ひきこもり①~⑮(にしおぎ学院:不登校支援ブログ一覧)

◆不登校中学生、通信制高校・チャレンジスクールの高校生の個別指導塾「にしおぎ学院」コース案内

 

 

 

 

 

Facebookで更新情報をチェック!

関連記事