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不登校
2016/03/08

不登校・ひきこもりと不安障害について②〔分離不安〕

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不登校支援ブログ

主に年少者に見られる分離不安障害

当塾は、中学時代に不登校経験のある通信制・定時制高校生やチャレンジスクールの生徒の学び直しや大学受験指導をメインに、中学生の不登校学習支援も行っている塾であるため、小学生の不登校生については扱っているわけではありません。

しかし、中学入学後の早期に不登校になる生徒のケースで、すでに小学校在学期間中に不登校などの現象が現れているケースもあります。

分離不安障害は、愛着のある親(特に母親)や家庭から離れることに強い恐れが社会的機能を低下させる不安障害であり、年少児童に見られる障害です。したがって、分離不安障害の出現率は年齢の上昇にしたがって下がっていく傾向があります。

いうまでもなく、年少児童にとって親から離れる際に不安を覚えることは自体はきわめて正常な反応ですので、下記に見る通りその児童の発達水準から予測される程度を超え、社会生活に支障を来たすレベルに達しているかどうかが問題となります。

【参考文献】

・『子どもの心の診療シリーズ1 子どもの心の診療入門』(齊藤万比古 総編集・責任編集,中山書店)

・『子どもと家族の認知行動療法2 不安障害』(P.スタラード 著、下山晴彦 監訳,誠信書房)

◆【不登校対応】にしおぎ学院について

分離不安障害による社会活動の阻害

問題となるのは、年齢不相応に過剰な不安が生じる場合で、小学校での友人関係や勉強、レクレーションやスポーツ、宿泊訓練などの社会的活動に支障を来たし、そのような状態が4週間以上持続する場合、分離不安障害と診断されます。

分離不安により、児童は小学校を含む様々な社会活動が阻害されていくため、結果的に極度の学業不振、対人関係スキルの未成熟などが引き起こされていくことになり、このような分離不安障害の児童は身体愁訴をしばしば訴えることになります。

さらに分離不安障害は、児童期に一旦回復したかに見えても、再び「社会(社交)不安障害」として表面化することがあり、思春期以降に、不登校・ひきこもりの一要因となっていく可能性もあります。

【参考文献】

・『子どもの心の診療シリーズ4 子どもの不安障害と抑うつ』(松本英夫/傳田健三 責任編集,中山書店)

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社会(社交)不安障害と不登校・ひきこもり

パニック障害、強迫性障害、社会(社交)不安障害、全般性不安障害、解離性障害、などの不安障害は、分離不安障害とは異なり、成人期にも見られる病態です。

これらのうち、前段で触れた「社会(社交)不安障害」については、幼少期における分離不安障害との連続性もあるため、思春期以降に発症して、不登校・ひきこもりの要因ともなり得るため、十分に注意する必要があります。

具体的には、「討論会など、人前で話をする」「授業中にあてられて答える」「学校のトイレで用を足す」など、公共の面前の場において恐怖を感じ、緊張する、手が震える、赤面する、などの不安反応を示し、不安のほか、抑うつ感や焦燥感を伴うことも珍しくありません。

【参考文献】

・『子どもの心の診療シリーズ 子どもの心の処方箋ガイド』(齊藤万比古 総編集,中山書店)

・『不安障害の子どもたち』(近藤真司 編著,合同出版)

◆【不登校からの学び直し】にしおぎ学院について

結果的に教室に入れなくなり、不登校に陥ります

このため、社会(社交)不安障害の場合は、結果的に「教室に入れなくなる」「学校に行けなくなる」「人前に出ることを極端に嫌うようになる」「ひきこもりになる」といった状況に発展する危険性があると考えられます。

これまで接してきた割と典型的なケースでは、中学入学後(特に中学受験を経て中高一貫校に入学した後)でした。しかし最近増えているのは、高校受験を経て高校に入学した後に不登校・ひきこもりになるケースです。

せっかく高校に合格しても高校生活にうまく馴染むことができず、「ホームルームで話をすることに極端に抵抗感を抱くようになった」「授業中に指名されるのが怖い」「休み時間や放課後に同級生グループの輪の中に入ることができなくなった」ということが次第にエスカレートしていきます。

そして、小中学生のときはそんなことがなかった生徒でも、「教室に入れない」「学校に行けない」「学校の同級生たちに会いたくない」「外に出たくない」という状況にまで発展する高校生が、徐々に増えてきている印象があります。

【参考文献】

・『社会不安障害のすべてが分かる本』(貝谷久宣 監修,講談社)

【不登校 個別対応】にしおぎ学院:入塾までの流れ

「高校に入れば安心」というわけではない

すでに触れたように、分離不安障害と異なり社会(社交)不安障害は、成人期にも発症する可能性があるため、高校入学後の大きな環境変化によって引き起こされても不思議はありません。

中学時代までに不登校経験などがまったくなかったのに、高校入学後に不登校になってしまうというケースが意外に多くなっているということには注意が必要です。実際に昨今そのようなご相談を頻繁に受けるようになってきていますし、中高一貫校における不登校急増の問題とは別に、こちらも注意が必要です。

私たちの塾では、これまでいろいろなパターンの不登校生への対応をしてまいりましたが、最近増えているのは高校受験後の不登校・ひきこもりなのです。

不登校といえば、中学生がピークであり、高校まで不登校になることもなく無事に進学できれいるから、うちの子はもう大丈夫だろうということはないということです。

【参考文献】

・『図解 やさしくわかる社会不安障害』(山田和夫 監修,ナツメ社)

◆【不登校からの大学進学】にしおぎ学院:大学受験コース案内

いつ誰が不登校になってもおかしくありません

小中学校の不登校は少子化傾向が続いているにも関わらず増加の一途を辿っており、言うまでもなく中学生の不登校増加は深刻です。

しかし中学生の不登校増加の問題とは別に、高校進学後の不登校についても、社会(社交)不安障害などの可能性も含め、慎重に考えていく必要があるでしょう。

つまり、いつどこで誰が不登校になってもおかしくはないという状況になりつつあるということなのです。

次回以降のブログでは、特に不登校・ひきこもりに発展しやすいと考えられる、この社会(社交)不安障害について、再検討していきたいと思います。

◆不登校・ひきこもりと不安障害について①~⑦まとめ

◆【東京】不登校対応の個別指導塾にしおぎ学院TOPページ

 

 

 

 

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