不登校・ひきこもりと発達障害③〔発達障害と思春期〕
管理者用
中1のゴールデンウィーク明けに不登校が始まりやすい
中学に入学して約1ヶ月が経過しゴールデンウィークが明けた辺りから、登校することを嫌がり始める生徒、中学入学後の新しいクラスメートとの間で人間関係がぎくしゃくし始めて、トラブルに発展する生徒が出てきます。
また、行事の前後には頭痛や腹痛を訴えて保健室に行く生徒も徐々に増えてきます。
こうした状況の中で、次第に不登校に陥っていく生徒も出始めるのが、ゴールデンウィーク明けの時期なのです。
前回のブログでも触れましたが、発達障害の生徒の場合、定型発達の生徒以上に、中学でのクラスや部活での新しい人間関係に溶け込むことに困難さを感じるようになり、不登校・ひきこもりへと発展していく可能性が高いといえます。
社会性やコミュニケーション能力に困難がある生徒の場合は、もともと人とうまく付き合うことが苦手なので、仲間を作ってグループで行動するということは、それだけでもかなりのストレスになり得るのです。
また、中学の新しいグループに容易に溶け込むことができない自分に対して、同級生たちとの異質性や自己否定感情を抱くようになっていきます。
発達障害の生徒における思春期の課題
思春期(12~18歳)の時期には、身体的にも精神的にも大きく成長を遂げていく時期であり、自我同一性(アイデンティティ)を確立していく時期でもあります。
自我同一性(アイデンティティ)を確立することは、他者と自己との違いを明確に意識するということでもありますが、この思春期は、定型発達の生徒でも、悩みながら自我同一性を確立していく時期だといえます。しかし、発達障害の生徒にとっては、この課題はより難しく重たい課題となっていきます。
発達障害の生徒の多くは、中学に入学する前後辺りから、自分は同級生や同年代の生徒たちとの異質性を認識するようになります。そして、発達障害の生徒の場合、このような他者との異質性を、欠点・短所として捉え、強い自己否定感情を持つようになることがあります。
極端な場合、自分には普通の生き方ができないと悩むことになり、ポジティブさを次第に失っていくことになります。
また思春期における身体的な変化を受け入れることができず、大人になることに対して拒絶反応を示すこともあり、場合によっては、反対の性であることを求めることもあります。
《参考文献》
・『発達障害がある子どもを育てる本 中学生編』(講談社:月森久江著)
・『図解 よくわかる思春期の発達障害』(ナツメ社:中山和彦/小野和哉著)
発達障害の生徒が孤立しやすい理由について
発達障害の生徒は、前回のブログでも指摘したように、ギャングエイジの年代に入って、自らの孤立感を次第に自覚せざるを得なくなっていきます。
前回ブログでも触れましたが、ギャングエイジの時期には、同年代の仲間内でのグループ行動が顕著になり、このような状況の中では自閉症スペクトラム障害における社会性の障害が顕在化してくる結果となるのです。
自閉症スペクトラム障害における社会性の障害とは、端的には「他者と関わることが苦手である」ということになりますが、具体的には下記のようなものが考えられます。
・相手の話を聞いて、相手の気持を理解するのが苦手
・発話や表情、身振り・動作で自己の意思を相手に伝達するのが苦手
・相手の気持を憶測することが苦手なため、一方的な言動・行動をとりやすい
・友だち・同級生と過ごすより、単独で行動している方が楽
・友だち・同級生と協力し合ったり、協調的な人間関係を作るのが苦手
このように発達障害がある生徒の場合、小学校よりも中学校の方が、その生徒を取り巻く環境ははるかに厳しくなると言わざるを得ません。同年代の仲間での協調性が求められてくるギャングエイジの時期には、発達障害のある生徒の孤立が際立ってくることになるのです。
そして言うまでもなく、社会性・協調性の欠如が原因で、同級生・同年代の生徒たちからのいじめの対象になりやすくなり、結果的に不登校に陥る可能性も出てくるのも、この時期であるといえます。
《参考文献》
・『小児科臨床ピクシス⑮ 不登校・いじめ その背景とアドバイス』(中山書店:五十嵐隆総編集・平岩幹男専門編集)
・『親子で乗り越える思春期の発達障害』(河出書房新社:塩川宏郷監修)
・『自閉症スペクトラムがよくわかる本』(講談社:本田秀夫監修)
中1ギャップと発達障害
発達障害がある生徒の場合、中学入学後に、こうした社会性の障害のために孤立感・違和感を強めていく中で、中学の授業進度についていけなくなり、極度の学業不振に陥ってしまうこともあります。
発達障害がある生徒は知的能力では問題がないため、小学生の頃には授業についていけて、そこそこの成績だったはずなのに、中学、高校と進学するにつれて、たちまちついていけなくなり、脱落していくというケースも珍しくありません。これは前回のブログでも触れましたが、発達障害のある生徒が、小学生の時点で見過ごされやすいことがあるため、中学入学以降に顕在化してくるケースがあります。
発達障害のある生徒の場合、中1ギャップを契機に人間関係が急激に悪化したり、極度の学業不振に陥ったりすることで、不登校・ひきこもりに発展してしまうと、その後の高校進学にも深刻な影響を及ぼすことになります。
次回以降のブログでは、こうした中学生以降の学力低下・学業不振の問題についても触れていきたいと思います。発達障害のある生徒が、中学・高校になって急激な学力低下を経験し、勉強嫌いになり、自信を失って不登校・ひきこもりに発展していくというケースも決して珍しくはないのです。
そして、公立中学の場合は高校受験がありますが、私立中高一貫校のように中学と高校が繋がっているような場合は、中学在籍時に不登校であったとしても高校にそのまま進級・進学できてしまうのが普通です。このようなケースでは、さらに不登校・ひきこもりが長期化して、やがて留年・中退へと発展し、そのままニート生活に突入していく危険性がでてきます。
このような私立中高一貫校における発達障害の生徒の不登校・ひきこもりの問題についても、近年は公立中学以上に増加し深刻化しているため、次回以降のブログでも折に触れて指摘できればと考えています。
《参考文献》
・『子どもの心の診療シリーズ1 子どもの心の診療入門』(中山書店:齊藤万比古 総編集・責任編集)
・『子どもの心の診療シリーズ2 発達障害とその周辺の問題』(中山書店:宮本信也/田中康雄 責任編集)
・『発達障害が引き起こす不登校へのケアとサポート』(学研:齊藤万比古 編著)
◆不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩〔不登校支援ブログ一覧〕
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