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不登校
2016/04/29

不登校・ひきこもりと発達障害⑤〔発達障害の二次障害〕

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不登校支援ブログ

発達障害の二次障害について

発達障害における二次障害は、発達障害の行動特性や思考パターンへの周囲の理解や対応が不十分であった場合に生じやすくなります。

発達障害の二次障害として起こりやすいものとしては、起立性調節障害などの心身症などのほか、うつ病、摂食障害、境界性パーソナリティ障害などが挙げられます。

二次障害が起こる原因としては、発達障害のある生徒が外見からはなかなか障害があるとは分かりづらいこととも関係していますが、特有の行動や思考のため周囲からなかなか理解を得ることができず、孤立感、疎外感を強めていくことがあります。

そして周囲の大人たちの無理解が原因で二次障害が引き起こされると、大幅な学力低下・学業不振に陥るだけではなく、不登校・ひきこもりにまで発展するリスクが増大していくことになります。

高校生の場合であれば、不登校・ひきこもりが長期化すると、留年・中退という事態にもなりかねませんので、特に注意が必要です。

《参考文献》

・『子どもの心の診療シリーズ2 発達障害とその周辺の問題』(中山書店:宮本信也/田中康雄 責任編集)

・『改定第2版 小児科臨床ピクシス② 発達障害の理解と対応』(中山書店:平岩幹男 専門編集)

・『高校生の発達障害』(講談社:佐々木正美/梅永雄二 監修)

・『うつと発達障害』(岩波明 著,青春出版社)

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周囲の大人(親・教師・塾講師)の無理解

発達障害のある生徒の場合、特に周囲の大人(親・教師・塾講師など)に、その行動特性や思考パターンを理解してもらえなかったことで、叱責され続けて育ってきたという人も少なくありません。

当人はそれなりに一生懸命頑張っているつもりなのに、大人たちからはほとんど評価されず、「他の子たちはみんなやってることだ!何でお前にはできないんだ!」「結局、やる気がないから何もできないんだ!」などどと言われ、当人の自尊感情は非常に育ちにくい状況になっていきます。

通っていた進学塾の教室長や講師から「真面目にやれ!やればできる!やらないからできないんだ!結果を出せ!結果を見せてみろ!」と毎回のように叱り続けられたという話を、発達障害の高校生や保護者から聞いたことがあります。励ましたり叱責することが本当に効果的な指導方法なのでしょうか?

発達障害に対する理解を欠いた、実に無神経な言動であるといわざるを得ません。しかし、周囲の大人たち(学校の教師、塾講師、親)のこうした無知・無理解による児童生徒への無神経きわまりない接し方はけっして珍しいものではないのです。

わたしたち大人には、発達障害の認知・行動特性についてきちんとした理解のもとで、発達障害に苦しむ子どもたちに接することが求められます。

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一方的な激励や叱責は逆効果になります

塾講師や教室長に顔を合わすたびにこうした激励や叱責を浴びせられた結果、この生徒はこの塾に行くのがどんどん嫌になり、わざと遅刻したり休んだりするようになってしまったと言っていました。

この大人たちの不用意な言動や対応の仕方は、発達障害に関する基本的な理解や知識を欠いた言動であるといわざるをえません。

発達障害で「生きづらさ」を抱え悩んでいる生徒の場合、周囲の大人から反省や努力を強要され続けることが他の生徒たちより多くなりがちです。

だからといって、自分で直す方法が見つけられず、どうしていいか分からずに自分ひとりで問題を抱え込むことになります。苦悩し、やがて激しい無力感、劣等感、絶望感を味わうことになります。

しかし、当人はこれほど苦しんでいるのに、周囲の大人たちからは、単に怠けている、不真面目でサボっているだけだ、などと一方的に非難されるだけなのです。

当人にとっては、これほどつらいことはないのではないでしょうか。大人たちの善意の言葉が、この子たちを不当に傷つけ追い詰めているかもしれないということを知っておく必要があります。

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過度な心理的ストレスにより心身症になることも

上記のような場合、過度な心理的なストレスが要因となって心身症を発症してしまうこともあります。

特にコミュニケーション能力が低く、不安や悩みを的確に表現できないような場合には、心理的ストレスを溜め込んでしまい、身体的症状として表出しやすい状態になっていきます。

見られがちな心身症の症状としては、起立性調節障害、過敏性大腸症候群、過呼吸症候群(過喚起症候群)、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などがあります。

心身症の場合、身体疾患としての症状が相対的に軽度であることも多いため、親や教師から「怠け」「サボり」「根性が足りない」などという非難・叱責を浴びせられる可能性も高いと言えます。

このような周囲の無理解が続いてしまうような場合、心身症の症状が長引くことになります。

特に起立性調節障害の場合は昼夜逆転を生じやすい状態となるため、不登校・ひきこもりに陥り、常態化していく危険性があります。

《参考文献》

・『図解 よくわかる思春期の発達障害』(ナツメ社:中山和彦/小野和哉 著)

・『親子で乗り越える思春期の発達障害』(河出書房新社:塩川宏郷 監修)

・『小児心身医療の実践』(診断と治療社:冨田和己 著)

・『新しい診断と治療のABC 78 精神8 心身症』(最新医学社:久保千春 編集)

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「認知の歪み」を修正する認知行動療法(CBT)

発達障害の二次障害としては、心身症のほか、うつ病などの精神疾患があります。

うつ病を発症した場合には、物事への興味・関心の喪失、意欲の低下、集中力の低下などの精神症状のほか、慢性的な倦怠感、食欲不振、睡眠障害などの身体障害も現れてきます。

うつ病になって気分が落ち込んでいるときには、すべての物事を悲観的・否定的に捉える傾向があり、取り立てて根拠もなく短絡的にネガティブな結論づけをしてしまうがちになります。

このような思考パターンの中核には「認知の歪み」があると考えられており、この「認知の歪み」を修正していく治療法として認知行動療法(CBT)があります。医師や臨床心理士による認知行動療法を受けることによって、うつ状態が改善されていくとされています。

認知行動療法は、不安障害やうつ病の治療において治療エビデンスを獲得している治療法ですが、発達障害の認知特性を理解し、具体的な対応策を提示していくという問題解決型の治療法であるとも言えます。

《参考文献》

・『図解 やさしくわかる認知行動療法』(ナツメ社:福井至/貝谷久宣 監修)

・『認知行動療法のすべてがわかる本』(講談社:清水栄司 監修)

・『発達障害のある子どもができることを伸ばす!思春期編』(日東書院:杉山登志郎/辻井正次 監修)

◆不登校支援ブログ:不登校・ひきこもりと発達障害①~⑩

結果よりプロセスを大切にしてください

発達障害の生徒は、周囲の大人たちから否定的な評価を受け続け、自らも自己否定的になっています。このような場合には、その特性を無理に修正しようとするのではなく、プラスの面に目を向け、自尊感情を高めていくことが大切になってきます。

先の進学塾の講師のように、「結果を出せ!結果を見せてみろ!」と叱責を浴びせて急き立てるのではなく、もしうまくいかなかったり、失敗を繰り返したりしても、それを指摘し責めるのではなく、努力したこと頑張ったこと自体を評価し、ほめることが必要だと言えます。

結果ではなく、頑張ったというそのプロセスを評価してもらえることで、「頑張ったらほめてもらえる!自分は一人ではなく応援してくれる人がいる!次も頑張ろう!」という気持ちになれるのです。

発達障害の二次障害、特にうつ病などを防ぎ、不登校・ひきこもりに発展させないためには、周囲の大人たちの中に理解者がいてくれることが大切だということです。そして発達障害に特有な行動特性や思考パターンを頭ごなしに否定して叱責・非難するのではなく、的確にサポートしてあげることが最も重要なことであると言えるでしょう。

《参考文献》

・『発達障害が引き起こす不登校へのケアとサポート』(学研:齊藤万比古 編著)

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