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不登校
2016/11/10

うつ病と不登校・ひきこもり②(うつ病の特徴について②)

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うつ病の症状について

うつ病になるとこうした症状を呈するという症状を、「大うつ病エピソード」と言います。以下のうち、5つ以上が当てはまればうつ病の可能性があるとされます。

米国精神医学会が作成する「精神疾患の分類と診断の手引き」(DSM)の最新版(第五版)であるDSM-5に示されている「大うつ病エピソード」は以下の通りです。

1.抑うつ気分

2.興味または喜びの喪失

3.体重減少あるいは体重増加

4.睡眠障害(不眠または睡眠過多)

5.精神運動の障害

6.疲れやすい・意欲の減退

7.無価値観、罪責感

8.思考力や集中力の低下

9.死への願望(自殺念慮・自殺企図)

【参考文献】

・『DSM-5セレクションズ 抑うつ障害群』(高橋三郎 監訳,医学書院)

・『学校関係者のためのDSM-5』(高橋祥友 監訳,医学書院)

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「抑うつ気分」、「興味または喜びの喪失」について

DSM-5では、上記の9大エピソードのうち5つ以上が、同一の2週間に存在し、病前の機能からの変化を起こしており、これらの症状のうち少なくとも一つは、「1.抑うつ気分」、「2.興味または喜びの喪失」である場合に、うつ病の可能性があるとされています。

これら2つのエピソードについては特に重要なので少し説明を加えておきます。

「1.抑うつ気分」 気分が滅入っている状態です。何をしても気持がふさぎこんで、気分が重く、多能しいと感じられない状態です。空しい、悲しい、さびしいという感情がいつまでたっても抜けることがありません。

この「抑うつ気分」は、本人の明言か、他者の観察(たとえば、涙を流している、泣いているように見える)によって示されますが、ここで注意したいのは、子どもは大人と違って、そうした状態をうまく周囲の大人たち(親・教師)に言葉で言い表して伝えることができず、結果的に、イラついたり落ち着きがなくなったりしてしまうことがあるということです。子どもの「抑うつ気分」を理解するには、態度や行動に注意を払う必要があります。

「2.興味または喜びの喪失」 ほとんど一日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びが著しく減退している状態で、本人の言明か他者の観察によって示されます。

今まで喜んでしてきた活動や趣味、勉強などに興味を持てなくなっている状態です。普段よく聴いているアーティストの曲を聴いても、大好きなスポーツの試合中継をテレビで観ても、何も感じなくなります。これまで精力的に打ち込み、いつも楽しみにしていた部活にも出たくなくなります。

【参考文献】

・『図解 やさしくわかる うつ病の症状と治療』(野村総一郎 監修,ナツメ社)

◆不登校支援ブログ:うつ病と不登校・ひきこもり①~⑮

うつ病による「食欲不振・過食」、「不眠・過眠」

「3.体重減少あるいは体重増加」 これは、食事療法中ではない著しい体重増減(1ヶ月に5%以上の体重変化)のほか、ほとんど毎日の食欲の減退・増加を指します。

食欲のない状態が続き、何を食べても美味しさを感じられなくなり、その結果、体重がどんどん落ちていきます。その一方で過食症になることもあります。児童の場合、期待される体重増加が見られないこともあります。

「4.睡眠障害」 ほとんど毎日の不眠または睡眠過多ですが、うつ病の人には不眠がよく見られます。眠りにつこうとして無理に就寝しても寝つきが悪く、眠りについても夜中や明け方に目が覚めて、その後眠れなくなるという状態が続きます。その一方で、いくら寝ても疲れが取れず、眠り続けてしまうという睡眠過多の状態が続くこともあります。

こうした不眠や睡眠過多の状態は、実際に不登校に陥っている中学高校生の話を聞いている限り、よく耳にすることです。そして、不眠や過眠のために、昼夜が逆転して夜型の生活が常態化し、不登校が固定化してしまうということは想像に難くありません。

これらと同様に、不登校生との相談の中でよく耳にするのは、「6.疲れやすい・意欲の減退」、「8.思考力や集中力の減退」といった状態です。

【参考文献】

・『子どものうつ病』(長尾圭造 著,明石書店)

・『うつ病のことが正しくわかる本』(野村総一郎 監修,西東社)

◆不登校支援ブログ:うつ病と不登校・ひきこもり①~⑮

体が重くて動かない、本を読んでも頭に入らない

「6.疲れやすい・意欲の減退」 不登校やひきこもりで、ほとんど体を動かしていないのにぐったり疲れる、疲労感が取れないという状態ですが、朝起きようとしても体が重くて動かないということも珍しくはありません。また、ご飯を食べる、服を着替える、歯を磨く、顔を洗う、など日常的な動作すらやる気が起きなくなり、簡単なことでも無理にやろうとすると、非常に時間がかかることがあります。

かつて、ある不登校の高校生が、朝起きて制服のネクタイを締めたりボタンを掛けることすら面倒で億劫になったので、なかなか着替えができず高校に行けなくなったと語っていたことを思い出します。

「8.思考力や集中力の減退」 思考力・集中力が大幅に低下することで、以前よりも勉強がスムーズに進まなくなってしまいます。周囲からは、学力が落ちてしまったと見られることがあります。また、活字を読めなくなったり、読んでも頭に入らなくなったりするという生徒も過去にはいました。

大学入試問題の国語や英語の文章の内容がほとんど頭に入ってこなくなり、目で文字を追っているだけの状態に陥ってしまった高校生もいましたが、これは典型的な症状であると言えます。そしてこのような状態が常態化してしまうと、学力の低下は免れ得なくなってきます。

【参考文献】

・『思春期の「うつ」がよくわかる本』(笠原麻里 監修,講談社)

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「抑うつ気分」が「死への願望」(自殺念慮)に発展することも

抑うつ気分が強くなると、そのつらさに耐えられなくなり、自殺念慮(希死念慮)や自殺企図に発展することが珍しくなく、前回のブログ(不登校支援ブログ:うつ病と不登校・ひきこもり①)でも触れたように、うつ病の自殺率は15%ときわめて高いため、注意が必要になります。

一定期間だけ「死にたい」と考える場合もあれば、常に死ぬことを考え、自殺の準備を始め、実行してしまうこともあります。

自殺は、うつ病において考え得る最悪の事態であり、このような状態になる前に早期発見し、早期治療を行うことで未然に防ぐ必要があると言えます。

サボりや怠けなどと軽く考えて、激励や叱責するのではなく、子どもにもうつ病は確実に存在するのだということを、周囲の大人たちはしっかりと理解しておく必要があります。

【参考文献】

・『こどものうつ ハンドブック』(奥山眞紀子 他著,診断と治療社)

・『子どもの心の診療シリーズ4 子どもの不安障害と抑うつ』(松本英夫/傳田健三 責任編集,中山書店)

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