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不登校
2016/12/14

うつ病と不登校・ひきこもり⑭(うつ病回復後の進路選択について)

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不登校支援ブログ

うつ病の回復期には、まず生活リズムを整えましょう

これまでのブログでも述べてきたように、医療機関で適切な治療を受け、学校を2~3ヶ月程度休んで十分な休養を取ることで、抑うつなど急性期の強い症状が次第におさまってきます。

抑うつ症状が強い急性期では、不眠から夜更かしをしたり、時間帯に関係なく朝も昼も寝ていたりと、正常な生活リズムが乱れがちになります。しかし、急性期から回復期に入ってきたら、正常な生活リズムを少しずつ整えていくことが必要です。

昼夜逆転の生活は、うつ病の悪化や再発を招く可能性があります。したがって、回復期には、夜は就寝して朝になったら起床してカーテンを開け、朝の光を浴びるようにしてください。そして日中はできるだけずっと日光を浴びるようにして、日内リズムを次第に整えていかねばなりません。

日内リズムが整ってくることで、自律神経やホルモンの調整機能なども正常に機能するようになり、その結果としてストレスも軽減されてくるのです。

【参考文献】

・『図解 やさしくわかる うつ病の症状と治療』(野村総一郎 監修,ナツメ社)

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無理をせず、小さなことから少しずつやってみる

うつ病の回復期になると、特に高校受験を控えているような中学3年生は少しずつ復調して元気を取り戻してくるので、それまでの学習ブランクを取り戻して、みんなに追いつこうと焦りが出てくるものです。しかし、この時期の焦りは禁物です。

うつ病の回復には波があることを正しく理解して、一進一退を繰り返しながらゆっくり進んでいくことを受け入れることが大切です。少しよくなったかと思えば、症状が出ることもありますが、その都度、落ち込んだり焦ったりすることがないようにしてください。

このような時期に、不安や焦りが出てきたら、ほんの少しだけでもいいので、ポジティブに物を考えてみるようにしてください。そして、「近所を散歩してみよう」など、意欲が湧いてきたら、小さなことから少しずつ試してみてるのが大事なことです。回復期には、家族と一緒に散歩に出掛けることも、気持ちを前向きするための一つの方法です。

いきなり大きな目標を立ててみたり、負荷のかかりそうな極端なノルマを自分に課すのは絶対にしないよう、くれぐれも気をつけましょう。それまでの学習の遅れを取り戻そうとして、いきなり何時間も勉強しようとしたりするのはもってのほかです。

【参考文献】

・『はじめての認知療法』(大野裕 著,講談社)

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学校生活に復帰することが最終ゴールではありません

うつ病で長期間、学校を欠席している人にとっては、いつになったら学校に復帰できるのが、再び登校できるようになるのかが、とても気になるところだと思います。

しかし、これまでも繰り返し申し上げてきましように、気持ちばかりが先走りして、回復を待たずに登校を再開してしまうと、再び症状が悪化して、ひきこもり生活に戻ってしまう危険性も高くなってきます。

中学や高校に在籍している生徒の場合、学校に復帰すること、登校を再開することが、ゴールになってしまっているケースがあります。もし、医師からの復帰の許可が出たとしても、実はそれがゴールではありません。

最終的な目標は、うつ病が再発することなく、学校生活・学業を、安定的に持続していけるかどうかということなのです。そのためには、学校への復帰後も、治療を継続して、医師の指示に従って、あくまでも無理をせず慎重に、症状の経過を見ていくことが求められるのです。

【参考文献】

・『子どものうつがわかる本』(下山晴彦 監修,主婦の友社)

◆不登校支援ブログ:うつ病と不登校・ひきこもり①~⑮

通学再開に向けての準備について

急性期にあった抑うつなどの強い症状がおさまり、気分の変調が少なくなってきたら、復学、再登校を少しずつ考えていく時期になりますが、そのための準備は、少しずつ進めていくことが大切です。

通学を再開するに際して心掛けることは、何をおいてもまずは体調を整えることです。長期間、学校を休んで療養を続けてきた人は、体力が大幅に低下している可能性があります。

先程来、触れていますように、日内リズムを整えて、昼夜逆転した夜型の生活リズムを修正し、1日3食の食事は決まった時刻に規則正しく食べるようにしていきます。

爪や髪を切って整え、男子の場合は髭を剃るなど、徐々に身だしなみを整えていくことも大切なことです。少しずつ外出に慣れていくことも重要です。近所の散歩、買い物など短時間の外出から始めて、徐々に外出時間・距離を延ばしていくようにしてください。

そして次第に自信がついてきたら電車やバスに短時間でも乗って体を慣らしていくようにしてください。大事なことは、いきなり何でもかんでもしてみようとするのではなく、できそうなことを一つずつ段階的にこなしていくことなのです。

【参考文献】

・『うつ病のことが正しくわかる本』(野村総一郎 監修,西東社)

・『よくわかる最新医学 新版 うつ病』(関谷透 著,主婦の友社)

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焦って復帰時期を早めるのは非常に危険なことです

下記のような症状がある場合は、復帰時期としては尚早であると言えますので、十二分にご留意いただきたいと思います。

①強い疲労感や体調不良がある

②不眠がしっかり改善できておらず、眠気を感じることがある

③外出する際に不安になることがある

④復帰への焦燥感がある

⑤周囲(医師や家族)の助言・指示を素直に聞き入れることができない

⑥集中して物事に取り組むことができない

こうした症状がある場合は、もう少し学校を休んで様子を見るべきです。

特に、復帰への焦燥感が強いにも関わらず、物事に対する集中力がなくなっているような場合は、いきなり学校生活に復帰して、負荷のかかる受験勉強を始めることは非常に危険であると言わざるを得ません。

【参考文献】

・『図解 やさしくわかる うつ病の症状と治療』(野村総一郎 監修,ナツメ社)

・『うつ病の人に言っていいこと・いけないこと』(有馬秀晃 監修,講談社)

◆不登校支援ブログ:うつ病と不登校・ひきこもり①~⑮

子どもの体調に見合った進路選択が望まれます

中学校で長期欠席や不登校の子どもが、全日制の高校に毎日通学することは、体力的にも難しい場合があります。通信制高校や定時制高校、チャレンジスクールなど、無理なく通学できる高校もあるので、目先のことではなく将来を見据えた進路選択をすることが望まれます。

高校は、中学校よりも遠距離にあることが多く、通学で体力や気力を消耗しやすくなると言えます。これまで徒歩圏内の地元の公立中学に通っていたような場合は、毎日早朝に起床して満員電車に乗って毎日通学することを余儀なくされることになります。

遠距離通学を想定する場合は、通学時間帯と利用交通機関の混み具合についても、事前に把握しておく必要があります。つまり、「受かればよい」という考え方ではなく、「ちゃんと通えるかどうか」ということは重要になってくるのです。負荷のかかるような長時間の通学を続けて、うつ病が再発してしまうと元も子もありません。

そして、親の方としては「ちょっと頑張れば、全日制高校に通えるのではないか」と思いがちです。しかし、早計に判断せず、高校進学後に、子どもがもし通学できなかったときのダメージやリスクを考えて慎重に検討されたほうがいいでしょう。全日制高校にこだわらず、無理のない進路選択を模索することが重要です。

子どもの体力に見合った高校を選ぶことが望ましく、本人の希望する高校が特にないような場合は、体力に見合った、通信制高校の通学型(サポート校)や、三部定時制高校、そしてチャレンジスクールなどを選ぶことも検討したほうがいいでしょう。

【不登校からの高校進学】にしおぎ学院:高校受験コース案内

目先の高校受験ではなくその先の大学受験までを見据える

 近年は、全日制高校にこだわらなくても、少なくとも東京などの都市部においては、単位制・通信制高校、そして通信制高校の通学型サポート校、都立の三部・四部定時制高校、チャレンジスクールなど、中学時代に長期欠席によるブランクのある生徒でも比較的に無理なく通学できる高校が増えてきています。

こうした多様かつゆるやかな進路選択を考えることで、焦らずにじっくりとうつ病の治療・休養に専念することができるようになります。

目先の高校受験にとらわれるのではなく、あくまでも将来の大学受験までを視野に入れて、長期的なスパンで進路選択をすることも大切なことです。高校受験で無理をするのではなく、大学入試までに間に合えばいいという、ゆったりとしたスタンスも必要です。

うつ病が回復したばかりの状態で、いきなり短期間での詰め込みで受験勉強を行うことは、再発リスクを増大させますし、再びひきこもりへと戻ってしまうことは少なくありません。

そうした再発リスクを回避するためにも、進路選択にはある程度の余裕と長期的なスタンスが必要になってくるのです。

【にしおぎ版】不登校対応のための10項目

高校入学後の通学シュミレーションについて

学校見学や個別説明会では、通学距離や交通手段を実際に確認してみることが大切です。実際に、自宅から高校まで行ってみて、毎日通学できそうか、あるいは週にどれぐらいの頻度(週1~3)であれば通学できそうかを、シュミレーションしてみることが必要なのです。

そして、通学時間や交通機関を利用してみて、どの程度の負荷かがかかるかを確認しておかねばなりません。

学校見学などの日は土曜日などに実施されることも多いので、入学後の通学を想定して、平日の始業時刻に間に合う時間帯に交通機関の混み具合や、通学時における自分の体力的な負担、高校の普段の雰囲気、在学生の日常の様子などを把握してくことも大切なことです。

自分にどれぐらいの負荷がかかるのか、自分はどれぐらいの負荷であれば許容できるのか、こうしたことを体験してみることで、高校入学後の状態をより具体的にシュミレーションできるのです。

漠然としたイメージで進路決定をしてしまうことがないよう、くれぐれも注意しましょう。

◆【不登校 個別指導塾】にしおぎ学院について

学業の持続性こそが一番大切なことです

高校には受かって入ることが目的なのではありません。

そうではなくて、入学後に通学を続けることができ、学業に持続性を持たせることができるかどうかということの方がはるかに重要なのです。

高校に受かるための受験勉強による過度のストレスや、通学による体力・気力の疲弊で、高校入学後にうつ病を再発して通学できなくなり、その後症状が悪化して、不登校やひきこもりが固定化・常態化してしまうようなことがあれば、何の意味もありません。

その結果として、留年・中退という厳しい現実が突きつけられることになります。高校は、中学までの義務教育とは異なり、全員が進級・卒業できるわけではないからです。

今回のブログの最後になりますが、私たちの塾(にしおぎ学院)では実はこうした生徒たちをこれまでたくさん見てきたということを、付け加えておきたいと思います。

【不登校支援ブログ】うつ病と不登校・ひきこもり①~⑮

不登校生、通信制高校・チャレンジスクールの高校生の個別指導塾「にしおぎ学院」コース案内

 

 

 

 

 

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