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不登校
2016/03/19

不登校・ひきこもりと不安障害について⑤〔社会(社交)不安障害と生活リズム〕

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不登校支援ブログ

社会(社交)不安障害〔SAD〕と夜型生活

社会(社交)不安障害〔SAD〕になると、セロトニン量が低下すると言われています。

セロトニンはメラトニンという物質の材料となり、このメラトニンは睡眠を促す物質です。したがって、SADでセロトニン量が低下している場合、メラトニン量も減少し、夜、寝つきが悪くなり、なかなか眠りにつくことができなくなくなり、就寝時間がどんどん遅くなっていくわけです。

これに加えて、ネット依存、ゲーム依存(ゲーム障害)、スマホ依存などになっていくと、さらに頭が興奮状態になり目が冴えてしまって就寝時間が明け方にまでずれ込んできますし、ひどい場合は午前7時~8時くらいまで眠りにつけないという状態にもなりかねません。

不登校・ひきこもりが常態化している中学生や、不登校・ひきこもりを経て通信制高校に進学・転学している高校生の中には、このような乱れた生活リズムが当たり前になっている生徒が珍しくありません。

このような乱れた生活リズムは、将来の高校卒業の進路選択や将来設計にも深刻な影響を及ぼすものです。大学受験・大学進学を断念し、進路未決定のまま高校卒業することを余儀なくされることになりかねません。

その確率はきわめて高いものになります。通信制高校卒業生の進路未決定率が45パーセントであるという事実は重く受け止めるべきでしょう。

【参考文献】

・『社交不安症がよくわかる本』(貝谷久宣 監修,講談社)

・『社交不安症UPDATE エスシタロプラムによるアプローチを中心に』(小山司 編,先端医学社)

◆【にしおぎ学院:不登校支援ブログ】通信制高校卒業後にゼロからの学び直し

日中の活動によって太陽の光を浴びる時間を延ばす

これまでもこのブログで述べてきたことですが、完全に昼夜逆転して夜型になってしまっている場合でも、遅くとも正午までには起床するという緩やかなルールを設定すべきだと思います。

数年間、夜型生活を続けている人が、いきなり明日から早寝早起きをしようとしても、かなり無理があると思いますし、反動ですぐに元に戻ってしまう可能性もあるからです。何度も試みては失敗を繰り返し、そのたびに無力感や挫折感を味わって自己否定感情がかえって強くなったという経験をしてきた中学・高校生の人も少なからずいるのではないでしょうか。正午までには起床すること、そして早寝早起きでなくとも、決まった時間に起きるようにすることをルールにしてください。

午前11時半くらいを目安にして、できるだけ午前中には起床するようにし、起床したらすぐにカーテンを開けて部屋に日光を入れて浴びるようにしてください。起床直後に日光を浴びることで、交感神経にスイッチが入り、脳や自律神経が覚醒します。

先程述べたセロトニンという物質は、日光が網膜を刺激することによって作られます。したがって、SADで低下しているセロトニン量を増やしていくためにも、必ず日光を浴びる必要があるのです。

【参考文献】

・『子どもの心の診療シリーズ4 子どもの不安障害と抑うつ』(松本英夫/傳田健三 責任編集,中山書店)

◆【不登校対応】にしおぎ学院TOPへ

起床後は二度寝・昼寝をしないようにする

せっかく午前中に起床しても、しばらくして二度寝したり昼寝をしたりしてしまう人も多いようです。特に、適応指導教室やフリースクール、通信制高校やチャレンジスクールのなどの中高生で、午後から時間を拘束されないという生徒の場合、帰宅してそのまま2~3時間昼寝をしているという人がいます。この習慣はやめた方がいいでしょう。

もし、どうしても眠たいというのであれば、机やテーブルにうつぶせになって仮眠を15分程度にしてください。けっして、横臥して本格的に眠ろうとしないことが大切です。

また、自宅にこもりきりの生活をしている人の場合は、できるだけ外出してウオーキングやウィンドウショッピングなどをして、だらだらでも構いませんので、日中は歩き回るようにした方がいいでしょう。

SADのために、人に会うのが嫌だという人は、一人で歩き回って、少しずつ歩行範囲を広げるようにしていくといいと思います。隣の駅まで歩いて行って、歩いて帰ってくるというのでも構わないと思います。また、犬の散歩をする場合は、夜間ではなく日中にするようにして、できるだけ外で過ごして日光を浴びる時間を延ばしていくよう心掛けましょう。

ここまでをまとめると、①無理矢理、早寝早起きをしようとして極端な目標を立てない②正午までには起床するようにする③決まった時間に起きるようにする④起床直後に日光を浴びる⑤二度寝や昼寝をしない(どうしてもしたいときは机にうつぶせになって15分程度の仮眠に留める)⑥自宅にこもらず外出し、外出時間を延ばしていく

◆【にしおぎ学院:不登校支援ブログ】不登校生の皆さんへー外出のすすめー

睡眠不足はSAD悪化の要因になります

SADのために不登校・ひきこもり状態に陥って長期化しているようなケースでは、生活リズムが大きく乱れてしまっていることが少なくありません。

日によって起きる時間や寝る時間が違うなど、生活リズムの乱れにより、慢性的な睡眠不足になりやすくなります。そしてこうした睡眠不足は心身の緊張状態を作りやすいので、社会(社交)不安障害〔SAD〕を悪化させる要因になります。

したがって、しっかり睡眠を取ってリラックスした状態にするため、生活リズムを見直していく必要があります。

前回のブログでも触れましたが、SADが悪化していくとうつ病などの他の精神疾患を併発する危険性が増大することになりますので、せめて起きる時間は決める、二度寝・昼寝はせず日中は外出するよう心掛けるなど、緩くてもいいので最低限のルールは守るようにしてください。

不登校・ひきこもりになってしまって、一番いけないのは、「好きなときに寝て好きなときに食べる」という生活を許容してしまうことです。不登校・ひきこもりの生活が常態化しているとしても、その中での自分のルールを決めていくことは、心身のコンディションを悪化させないためにも非常に大切なことなのです。

過度に自罰的になる必要はありませんが、必要以上に自分を甘やかすことは、結果的に自分をさらに追い詰めていくことになるということは肝に銘じておく必要があるでしょう。

【参考文献】

・『図解 やさしくわかる社会不安障害』(山田和夫 監修,ナツメ社)

◆【にしおぎ学院:不登校支援ブログ】不登校・ひきこもりと不安障害④ 

無理に眠ろうとしない

就寝する際にしてはいけないことの一つとして、無理に眠ろうとしないということがあります。

人間は自らの意思では眠りにつくことはできないため、無理矢理に布団に入って自分を寝付かせようとしてもできないということです。こうした場合は、一旦、起き上がって寝床を出て、眠くなるのを待つしかありません。

ここで注意すべきことは不安になりそうなことは考えないようにすることです。また寝る前にネットで動画を見始めたり、ゲームをしたりするのは避けてください。就寝前1~2時間は、テレビ、DVD、ネット、ゲームをやめるようにしてください。頭が興奮状態になり、体が疲れていたとしても寝つきが悪くなります。それ以外の方法、たとえば読書、音楽鑑賞など、リラックスする方法を選択してください。

そして、最初のうちはうまく眠れないとしても、起床時間だけは決めておいてください。正午までには必ず起床するという緩めのルールを課していくうちに、少しずつ就寝時間が早くなっていくはずなので、とにかく極端なことをしようとせず、また必要以上の負荷をかけることなく、生活リズムを徐々に改善していくことが大切です。

◆【にしおぎ学院:不登校支援ブログ】不登校・ひきこもりと不安障害について①~⑦まとめ

◆【東京】不登校対応の個別指導塾にしおぎ学院について

 

 

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