不登校生の「認知の歪み」と都立高校入試当日ドタキャンについて
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不登校生の都立入試当日ドタキャンについて
30年度の都立高校入試は2月23日(金)となり、都立新宿山吹高校定時制課程や都立チャレンジスクール、そして都立三部定時制高校前期日程の入試も同日となります。
不登校中3生で特に注意が必要なのは、新宿山吹高校定時制課程(普通科・情報科)の入試当日ドタキャンです。
当日のドタキャンが懸念される生徒の場合は、年明け以降、生徒本人だけでなく保護者の方も含めて、念入りにメンタル面のサポートを行っていますが、それでも100パーセントとは言えず、回避できないことが近年増えてつつあります。
実は入試直前や当日になって、「受けたくない」「受けられない」という切迫した精神状態に陥ってしまった場合、それを回復させて入試を受けに行かせることは容易なことではありません。
特に当日朝にこのようになった場合は、生徒本人が気を取り直して入試会場に行って受験してくるのは、ほぼ無理だと思います。
◆【不登校・ひきこもりからの学び直しの塾】にしおぎ学院について
不登校生の高校受験にはさまざまなリスクの想定を
長期欠席や不登校が、直近の半年あるいは1年以上継続しているような場合で、高校受験をしようとする際には、起こり得るさまざまなリスクを事前に想定しておく必要があります。
生徒本人が、急にやる気になったからといって、これまでの分を取り返そうと躍起になるのは分かります。しかし、このように長いブランクを経て、これまで何もしてこなかった状態で、いきなり急発進してしまうのは非常に危険なのです。
はやる気持ちを抑えきれず、短期間で遅れを取り戻そうと大きな負荷をかけてしまいがちなので、暴走を自分でコントロールできず、あっというまに息切れ状態になり、燃え尽きてしまいかねません。
そして何とか高校入試の直前まで、持ちこたえられたとしても、入試の当日に受験会場に行けなくなるということも起こり得るのです。
このように不登校期間が長い生徒の場合、さまざまなリスクを想定しておく必要があります。見切り発車は危険なのです。
入試当日にドタキャンしやすい不登校生の「認知の歪み」
入試当日にドタキャンする生徒に共通している特徴として次のようなことが挙げられるでしょう。
①認知の歪みがある(完全主義・極端思考)
②模擬試験を受けない(対人恐怖)
概ね言えることは、こうしたタイプの生徒は完全主義者であり、失敗に対して極度に敏感になっています。ほんの少しのミスに関しても自分自身で許容できないため、模擬試験は受けないことが多いのです。
また社会(社交)不安障害の傾向が強くなっている場合は、試験会場で他の生徒たちとテストを受けるということに心理的な拒絶感があります。
そして認知の歪みということでいえば、新宿山吹高校を受験する生徒で、併願をまったくしないというケースがあります。
これは「全か無思考」という認知の歪みの現れであると考えられます。こうした「全か無か」思考をする生徒の場合、たとえば、都立新宿山吹しか行くつもりがないのなら、最初から他の高校など受けても意味がないと考えてしまうようです。
このような考え方が、結果的に自分自身を追い詰めることになり、入試当日のドタキャンを引き起こしてしまうのです。
認知の歪み、不安障害については、サイト内のブログでも取り上げてありますので、ご参考にしてください。
不登校生の「全か無」思考と入試ドタキャン
そもそも、不登校が長期化しているような生徒には、中長期的なスパンで段階的な進路指導が必要です。特に、上記のような認知の歪みが生じてしまっているようなケースでは、いきなり柔軟かつ多様なものの考え方、捉え方を、いきなり当人に求めることは非常に厳しいと言わざるをえません。
また、こうした不登校生の場合、長期的なスパンで物事を考えることが苦手になっていることも珍しくなく、きわめて短絡的な思考に陥りがちになっていると言えます。
1校しか受験しないことが、いかに精神的な重圧になってしまうか、そして第一志望に受からなければ、全否定してしまうような極端なものの考え方を、少しずつ和らげて柔軟性を持たせていく必要があり、このようなケースでは少なくとも半年以上はかけるようにしているのです。
模擬試験を受けられない場合は、塾で入試問題演習をして、1教科ずつ受験させていくという手法をとる場合もあります。
不登校生は自分で自分を追い詰めやすい
また、併願の必要性についても、時間をかけてじっくりとお話をさせていただき、試験当日に精神的に追い詰められないような方向へと誘導するように心掛けています。
長期欠席や不登校が長引いて常態化しているような中学生の場合、視野狭窄になりがちな傾向もありますし、思い込みが強く、考え方に柔軟性がまったく失われていることが珍しくありません。
このような状態のため、非常に極端な思考に陥りやすくなっていて、結果的に自分で自分を追い詰めてしまうことになりやすいのです。
いくつかの通信制高校も学校見学しておきましょう
中3時点で半年以上あるいは年間通してほとんど欠席しているようなケースや、適応指導教室(あるいは民間のフリースクール)への通学や別室登校(保健室登校含む)もない場合、都立新宿山吹高校定時制課程に合格するだけの学力があったとしても、入学後に週5日(月~金)通学できるかどうか、厳しいところがあると思います。
このように長期欠席・不登校が常態化しているような中学生の場合は、新宿山吹定時制を第一志望にして受験指導をしていくことをベースにしながらも、私立の通信制高校の学校説明会などにも見学に訪れておくことをお勧めします。
実際に都立入試の当日に入試を受けに行くことができなかったり、あるいは受験合格後に入学してから就学が困難になることをあらかじめ想定して、事前に備えておくということです。
こうした「備え」があるだけでも、精神的な重圧を多少は緩和することができます。
高校に受かること自体が目的なのではありません
受験生の最終目標は、高校入試ではなく、あくまで大学進学であるということも意識しておく必要があります。
どういう高校に進学するのかが目的化してしまうと、高校入試当日に押しつぶされて、ドタキャンをしかねないことにもなるのです。
高校に入ること自体が目的であるという短絡的な考え方も、時間をかけてじっくりと修正していく必要があるでしょう。そして、中学時代の不登校・ひきこもりのブランクを本当の意味で挽回したいと考えるなら、大学受験を目指して3年間、じっくり腰を据えて勉強し直すことが求められるはずなのです。
不登校経験者にありがちですが、とかく目先の結果にのみとらわれて、視野狭窄になりがちです。こうしたことを避けるためにも、長期的な視野に立つことが大切になってきます。
柔軟なものの見方と長期的な展望が必要です
高校入試はあくまでも一つの手段に過ぎないのであり、それでその後の人生のすべてが決まるわけではありません。不登校生にありがちですが、「この高校に落ちたら人生終わりだ」などということは決してありません。どこからでも、挽回のチャンスはあるのだということです。
問題なのは、失敗や挫折を恐れることではなく、失敗や挫折をしたとしても、そこから何度立ち直ることができるかという柔軟さとタフさであると言えます。そして不登校経験者に欠けているのは、学力以上に、こうしたメンタル面のしなやかさと強さなのです。
いずれにせよ、将来の大学進学までの展望を考えて、いくつかの通信制高校を選択肢に入れておくことも必要なのです。大学に進学することが目的なのであって、高校に進学することが目的ではありません。
◆【通信制高校からの大学進学】にしおぎ学院:大学受験コース案内
高校受験はあくまで「プロセス」として位置づけてください
都立新宿山吹高校(定時制)は普通科だけでなく情報科も難易度が年々上がってきており、短期間の詰め込み学習ではかつてのように容易に入れるレベルではなくなってきています。まずはこうした現状認識が必要です。
その一方で、都立入試を目指して受験勉強をすることは、合否結果にかかわらず非常に意味のあることであるという認識も持つべきであろうと考えます。
都立入試というものが、大きな学習目標を定めてくれると考えれば、「ここに受からなければもう終わりだ」的な極端な発想にはならないはずです。そして、入試を目指して勉強するという恒常的な学習習慣が確立することは、何にも変えがたい価値のあることではないでしょうか。
高校入試が終わった後も、次は大学入試に向けてさらに勉強を続けていかねばならないわけですし、もし新宿山吹高校に受かったあと、スマホ・ネットでゲームに明け暮れて昼夜逆転の生活に舞い戻るようなことがあるとするなら本末転倒であるといえます。
ネット依存、ゲーム依存や起立性調節障害にも注意
先ほど、ネットやゲームで昼夜逆転した生活といいましたが、こうしたネット依存、ゲーム依存や起立性調節障害などのために、完全に昼夜逆転して夜型生活が常態化してしまったまま、高校入試当日を迎えてしまうということもあります。
生活の乱れが常態化して長期化しているような場合、言うまでもなく1日や2日で治るわけではありません。
これらに関しては、専門の医療機関で長期的な治療が必要となりますし、長期的なスタンスで治療と勉強を行っていくべきでしょう。
医師や心理士の助言に従いつつ、過度な負荷をかけない形で受験勉強を続けていくプロセスの中で、高校入試の受験当日を迎えるのが理想だと思います。
高校入学後に中退して、ひきこもりが再発しないように
先程から述べていることですが、高校に合格することを目的化し、性急に結果のみを追求するのはあまりお勧めできません。
根本的な治療を行っていなければ、かりに受験できて受かったとしても、高校に進学後も登校できなくなり、留年や中退、そしてひきこもり生活に再突入し、場合によってはニートになってしまう危機に晒されることになるでしょう。
なお、ネット・ゲーム依存症や起立性調節障害と不登校・ひきこもりについては、サイト内のブログ(不登校支援ブログ)でも記事を掲載しておりますので、関心をお持ちの方は下記をご参照ください。
◆【不登校支援ブログ】不登校・ひきこもりとネット依存症①~⑥
高校入試の一ヶ月ほど前から燃え尽きて、ひきこもるケースも
高校入試当日のドタキャンではありませんが、年が明けてしばらくして、急に燃え尽きて無気力状態になり、勉強がまったく手につかなくなるというケースもあります。
ひどい場合は、自宅自室にひきこもるようになり、食欲もなくなり、すべてにおいて意欲が急激に低下してしまいます。睡眠不足になり、集中力や判断力も急激に低下していきます。
このような場合、受験勉強による過度の負荷がかかり、抑うつ状態に陥っていることも考えられますので、状態が悪化する前に、必ず医療機関を受診していただき、早めに治療する必要があります。
中学生くらいのうつ病の場合、言葉よりも体調、態度、行動にあらわれることが多いので、家族の方々はその兆候を見逃さないように十二分にご注意いただきたいと思います。
にしおぎ学院は不登校対応専門の個別指導塾です
にしおぎ学院は、不登校対応を専門に特化した学習・受験の指導を行っている、東京都杉並区の個別指導塾です。
にしおぎ学院では主に次のような生徒たちを対象にした、学習支援(中学の学び直し)や高校・大学受験の指導を行っています。
・都立新宿山吹高校定時制課程(普通科・情報科)や都立チャレンジスクールの受験をお考えの、不登校の中学生
・中学のときに不登校・ひきこもりを経験され、通信制高校や都立チャレンジスクールに進学された高校生・既卒生
・高校入学後に不登校・ひきこもりを経験され、通信制高校や都立チャレンジスクールへ転学された高校生・既卒生
にしおぎ学院では、不登校・ひきこもり経験のある中学・高校生・高校既卒生への個別対応に万全を期するため、個室による1部屋1名・マンツーマンの完全個別指導を行っています。
また、不登校・ひきこもりの経緯や現状の正確かつ詳細な把握に努めるため、入塾・受講をご希望の方には必ず無料教育相談による丹念なヒアリングを行っています。
【不登校】にしおぎ学院の無料教育相談について
不登校・ひきこもりの時期や背景、そして期間や経緯などは、人により実にさまざまであると言えます。
このため、にしおぎ学院では、入塾をご希望される方には個別で無料教育相談を受けていただき、1時間程度の入念なヒアリングを行うことで、現状や問題の正確な把握に努めるようにしています。
無料教育相談は完全な個別対応のため予約制とさせていただいております。必ず事前にお申込みをしていただきますようお願い申し上げます。
お申込みの際には、≪無料教育相談フォーム≫をご利用ください⇒≪無料教育相談フォーム≫はこちら
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